このレビューはネタバレを含みます
まさにI.バーグマンを愛でるための映画。彼女のしぐさ一つ一つがどれも画になります。初めて登場したシーンから、場の空気が変わるのが私でも感じました。その美貌もさることながら、女優として圧倒的な存在感です。
使い古された言い回しとなりますが、凛とした中に儚さ愛らしさがあり、映画における女優の地位を押し上げた一人であることは間違いないでしょう。
また、脚本もドイツ軍へ抵抗するレジスタンスを軸に、全体的にナチスドイツへの批判を込めていて、パリやカサブランカが舞台ということもあってかフランス映画っぽい雰囲気もあります。
H.ボガードとP.ヘンリードが甲乙つけがたい感じがあり、どちらもナイスなキャラクターですね。黒と白のスーツの違いで二人をキャラ分けしているあたりが粋です。
愛する女性のためにみずから身を引くという、万人受け必然なシーンを経てからの粋なラストが、また洒落たフランス映画を思わせます。