塔の上のカバンツェル

シュガーランドの亡霊たちの塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

シュガーランドの亡霊たち(2019年製作の映画)
3.6
親友がISISになった。

"彼"の友達たちが地元の至って平和な風景の中で狼狽、怒り、何故?と戸惑う様が短編ながら非常に伝わってくる。

一緒につるんでいた、良いヤツのあいつがいつの間にか過激派に染まり、中東に旅立っていった。
ニュースで触れる"ホームグロウンテロリスト"と一言で片付けるには、"彼"の埋められない寂しさ、完全には仲間に入れてもらえない孤独感、本来ならそこで埋もれてしまう不幸で終わったものが、過激派になるという選択肢を与えてしまう病理の時代。

片鱗に気付きつつも、後に振り返れば取り返しのつかなかった瞬間があったのでは…?と友達たちが混乱する様に、イスラム教徒の置かれるアメリカ合衆国での立場と、それらの環境に折り合いを付ける現実、公的機関に根強い不信があるマイノリティと合衆国の歴史、"彼"が極端に至るまでの友達たちとの思い出の記憶。

20分という短い尺の中に、様々な背景が見え隠れするドキュメンタリーだった。