さんざん評価が高いレビューに触れてきて今まで見なかったのは、正直言うと西川美和が苦手でして。嫌いなんじゃなくて、刺さりすぎて反応に困るのが怖いのよねぇ。
喩えるなら、今日、まさに劇中に出てくる隅田川沿いをママチャリで走ってるとき、ホームレスの人を見かけた息子が「うちにおいでって言えばいいんじゃない?」と聞いてきて、「それはですね、まずは行政のー」とか「家に招く以外の支援の仕方がー」とか「大事なのは持続可能な支援でー」とかグダグダ言ったんだが、つまりそういう感じになる。ふだんポケモンとあつ森の話しかしないくせに、いきなり内角高めに投げてこられると答えに窮する。
大体の人はハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、ハッピーとバッドがぐちゃぐちゃに混在した人生を歩んで、死んでいく。なんであれ、どんな時でも自分が正しいと思った行いをしたい。Do the Right Thing.
大事なのは社会と関わりを持って、孤立しないこと。そんなのはわかってんだよなぁ。働くってなんなんだろう。私はちゃんと社会と関わりを持って、働いていると言えるんだろうか。
主演の役所広司と仲野太賀に加えて、脇役の北村有起哉とかキムラ緑子とか安田成美とか。誰か裏切るやつがいるんじゃないかと疑心暗鬼になるんだが、何を怯えていたんだろう、結局そんなこともなく。「すばらしき世界」とは、最初は皮肉なのかと思ったが、缶コーヒーのCMでトミーが言うように、真理なのかもしれん。
人は大なり小なり三上みたいな人間で、人生とは三上との戦いなのである。少なくとも私の人生はそう。
女囚さそりの梶芽衣子が歌うシーンもあるよ。