あちぴろ

すばらしき世界のあちぴろのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.1
カタギの人にも生きづらい時代、反社の人には耐えきれんだろうな。
綾野剛主演の「ヤクザと家族」でも描かれていた、受刑者が今の時代に出所して今をなんとか生きようとする物語。

【あらすじ】
13年ぶりに出所した三上正夫(役所広司)。頭に血が昇りやすいが根は優しい昔気質のヤクザ。
塀の中に通算28年いた男のドキュメンタリーを撮影しようとする津乃田(仲野太賀)、保護観察官の庄司夫妻(橋爪功、梶芽衣子)、スーパーの店長松本(六角精児)、役所の井口(北村有起哉)、九州の兄弟分下稲葉夫妻(白竜、キムラ緑子)など様々な人たちの心に触れて生きていく三上だったが、仕事は見つからず元の世界に戻ろうとするも、なんとか介護の仕事に就ける様になるが…

【キャスト】
役者の皆さんの素晴らしいこと。
役所広司は言うまでもないが、本作に出るキャストが素晴らしかった。
仲野太賀、梶芽衣子、橋爪功、六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子、安田成美、長澤まさみ…
特に梶芽衣子をキャスティングするとか驚き。修羅雪姫じゃないか!久しぶりに観た気がするなぁ。
仲野太賀は、ほんと上手いと思う。長澤まさみと並んで撮影したのを観てるシーン、あれは男性誰でもあんな顔になる。笑
自分なら襲っててもおかしくない←
自分的にはリリーさんも好きでしたけど(ゲス顔)
元妻久美子(安田成美)の娘が可愛い。どこかで観たことあるんだけど、こないだ「いちばん好きな花」に出てた女の子かな?→やっぱりそうだった。白鳥玉季ちゃん。
キャストの名前には三浦透子などがあったんだが見つけられなかった。
奥野瑛太(中年狩りの中田)は「SHOUGUN」といいジワジワと出て来てる気がするなぁ。
一番笑ったのはゴリライモって役名の人がいたことw


「シャバは我慢の連続、我慢の割には面白くもない。だけど、空は広いっち言います」
キムラ緑子のこのセリフと「🎵小さな星の 小さな光りが ささやかな幸せを祈ってる〜♪」と歌った坂本九氏の「見上げてごらん夜の星を」の梶芽衣子。
この二人のセリフにかなりグッとくるものがある。

今の世の中は本当に生きづらい。
何をしても世に晒され、善行も悪行も良くも悪くも晒される。
昭和生まれの自分にとってはあの頃の懐かしさもあれば、今の時代の便利さも手放せない。ネットがない時代だったら自分は失業してる訳だし。
そんな便利な時代になっても、懐かしいあの頃と何も変わらないのは「人の温かさ」だ。
三上にとっても生き難い時代だが、たくさんの人が彼を想い支えてくれる。
キッカケはテレビの企画だったにせよ津乃田にしても、スーパーの店長松本にしても、保護観察官の夫婦にしても、市役所の井口にしても。三上の再生を心から喜んでいる。なんなら元妻久美子だってそうだ。
加えて言うなら、介護施設のアベ君も。彼からもらったコスモスを握りしめるシーンにはグッとくる。
彼だって生きづらい世の中に必死で食らいついてる。

色んな場所で、色んな人が色眼鏡でモノを見て発信したりする。
だけど、色んな人が周りにいて色んな人に支えられて生きている。
そんな「すばらしき世界」なんだろう。

ラストのタイトルが空に浮かぶシーンは印象的。
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