すずき

第七の封印のすずきのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
3.6
遠征が終わり、10年ぶりに故郷に帰る途中の、元十字軍の騎士アントニウスと従者のヨンス。
だが故郷は、疫病の流行で死と終末のムードに満ちていた。
そんな中、アントニウスの前に現れたのは、彼を迎えに来た死神。
だがアントニウスは神への信仰が揺らぎつつあり、そんな不安定な状態で死を迎えるのは嫌だ、と拒否する。
そしてチェスの勝負で勝ったら見逃してくれるよう、死神と取引をする。
こうして死神は夜ごと彼の元へ現れ、その度にチェスの手が進んでいく…

映像と演出がピカイチな、スウェーデンの巨匠ベイルマン監督のモノクロ映画。
まずジャケ画がすでにカッコいい!
黒いローブに白い顔、異様な存在感ある死神の姿は、その後の死神のビジュアルに影響を与えた、そうです。
タイトルの「第七の封印」とは、ヨハネ黙示録に登場する単語で、この封印が解かれると最後の審判が始まる、そうです。

ストーリー自体は家へと帰る途中、色んな人と出会い別れ仲間を増やして次の町へ、のロードムービーで分かりやすい。
でもそれが伝えようとする宗教的テーマは多少難解。
これだ!というような解説・考察は頭悪い自分には出来ないけど、朧気には伝わってきました。
「沈黙-サイレンス-」とも少しテーマ被ってる?

主人公と旅を共にする仲間は増えていくけど、皆キャラ立ちしまくってる。
特に好きなのは、従者ヨンスのキャラ。
飄々とした調子者な所もあるが、誰よりも達観している。そして名言製造機。
それが生真面目で神の存在と信仰に頭を悩ませ続けるアントニウスと対照的だ。
あと旅の途中で拾った無口少女の、クライマックスのセリフが印象的。
今まで喋らなかったキャラに、クライマックスで一言だけ喋らせてインパクトを与える、って演出、テーマは全然違うけどデル・トロ監督の「クロノス」思い出した。