ペイン

第七の封印のペインのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
4.5
ウディ・アレンが最も影響を受けた作品と公言するイングマール・ベルイマンによる名作。

私のオールタイムベストテンには常にと言ってよいほどベルイマン監督の『仮面/ペルソナ』が入っています。なのでベルイマンへの思い入れは強い方です。

先日『ミッドサマー』の公開記念で来日したこれまたベルイマン信者であるアリ・アスターがインタビューで仰っていた“肉体はいつか無条件で僕たちを裏切る”という言葉が私は頭から離れないのですが、非常に本作のテーマと合致しているなと思います。

“死”というものを常に意識し怯えながら生きている人と、全く意識していない人がいると思う。当然意識せずに生きれる方が幸せとも言えるが、意識しているからこその強みもあると思う。私は割りと心配性なのでビクビクしながら今日やれることをとにかく精一杯やろうと生きています。私がこれだけ日々映画をむさぼるように観ているのもそういった感情が根底にあるからだと思います。

本作ではペスト菌に怯える人たちの様子が描かれますが、それは現代に置き換えることも出来て、やはり今でいうと新型コロナウィルスでしょうか。物凄く怯える人、無神経な人、または本作の神の視点の如く事細かに分析し冷静に対処しながら生きている人…

半世紀以上も前の作品ですが、現代にもバリバリ通用するテーマの普遍性と、撮影や美術などの映画としての圧倒的完成度の高さ。多くの映画人が影響を受けるのも観れば納得するのではないでしょうか?

P.S.
一部シーンが『ミッドサマー』感全快過ぎて笑っちゃいました。偉大なる名優マックス・フォン・シドーに追悼の意を表します。
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