劇中で押井守が【神】として二人をつなぎますが、私の中での【神】の一人は間違いなく坂元裕二。とくに今年は。
『大豆田とわ子』と本作で完全に打ちのめされました。『最高の離婚』や『カルテット』も大好きだけど、等身大の日常延長系ドラマを描かせたら世界一。セリフ回しがとにかく素晴らしい。この時代に生きてて良かった😆
トイレットペーパーで両手がふさがれててもカワイイ有村架純。なんてこった……。完敗である。
ちょうどいいラインのサブカル、ちょっと引っかかるけど大抵の人がスルーしちゃう部分の言語化、心の機微の切り取り方とその表現方法。
全てが素晴らしい。
前半はニヤニヤクスクス笑っちゃったし、後半は胸がギュッと締め付けられる。
そう、これは【花束】なんだ。
どこにでもありそうな花が集まり、【花束】になった時のちょっとした特別感。
花束をもらった時、最初はうれしくて眺めているだけで幸せで、水を取り替える時もウキウキしちゃって。でもそのトキメキは徐々に薄れ、だんだん水を替えるのも面倒くさくなる。あ〜、萎れてきたなぁと思いながらも、しばらくそのまま飾り続ける。そしていよいよ完全に花がクッタリし、寂しい気持ちになる。
そして、ありがとね、なんか、枯らしてゴメンねと思いながら、ゴミ箱に捨てる。
でも、花束をもらった時のキレイな状態や、その瞬間のうれしさは、ちゃんと記憶している。
それでいいのだ。
そしてこれは、【愛】にならなかった【恋】の話なのだ。
たとえばこれが結婚生活であったなら、花束が枯れてもドライフラワーにして楽しめばいいし、別の花をまた買ってもいいし、なんならプリザーブドフラワーとか、いっそのこと造花とか、観葉植物とかサボテンとか、さまざまな選択肢を模索する。
でもやっぱり恋は、はじまりのトキメキを引きずってしまう、生花の花束なんだなぁ。
「我々のこれまでの道のりは美しかった。あと一歩だった」
まさに、コレ。
趣味や価値観が合いすぎる人は、それゆえ、ほんのちょっとのズレが命取りになっちゃうんだなぁ。あれだけ好みが合ったら、運命感じちゃうよね。でも最初にポイントがガッツリ貯まって、あとは減っていくだけなんだよね😢
どっちも悪くないし、どっちも悪い。だからこそ、切ないのよねぇ。
恋愛って難しいねぇ。タイミングって罪だよねぇ。
ドラマ『コントがはじまる』でも言ってたけど、18歳から28歳の10年と、28歳から38歳の10年は全然違う。
実に日本らしいテンポとノリの、私が好きな空気感あふれる作品でした。
付き合うまでの時間のかけ方も絶妙。あのスマホ越しの告白とかぁ、もう、キャーーっ💖てなるよね。
現在から始まって出会いへと遡り、また現在で締める構成も好き。
それにしても、20代くらいで、付き合って1年くらいの絶好調カップルがこの映画を一緒に観たら、どんな空気になるのでしょうか?
モニタリングしたいです😏
そして花束をそっと渡したいです💐
それから、『さわやか』が出てきたシーンでは、静岡県民としてはテンション爆上がりでした。
他県民の皆さん、『さわやか』のハンバーグは本当に美味しいので、コロナが落ち着いたら食べに来てくださいね。
ソースはオニオン一択ですぞ。