このレビューはネタバレを含みます
「花束みたいな恋」ってなんだろう。
「女の子に花の名前を教えられると、その花を見るたびに思い出しちゃうんだって」
と絹ちゃんが言ってたけど
花の名前以外にもたくさんのことを共有してきたから、別れた後もふと思い出しちゃう恋？
付き合った当初は花束みたいに綺麗でイキイキとしていたけど、だんだん花束として飾るには枯れてきたから花束はやめて(別れて)、
ドライフラワーとして部屋の片隅に飾っている恋？いつもは気にしないけどふと目に入って花が綺麗に咲いていた時のことだけ思い出す、みたいな。
まあこれは私の勝手な解釈だけど。
麦くんと絹ちゃん、両方の考えがわかるけど
私は絹ちゃん寄りかなあと思った。
大学生の時は趣味も考え方も一緒で
お似合いなカップルだったけど
社会に出てお互い仕事に対して
違う価値観になった。
どんな仕事でも責任を持って逃げ出すのは悪いことだと思っている麦と
やりたくない仕事はしたくないし、
自分の楽しいことをして生きていきたい絹。
新卒カード振りかざしてブラックじゃない会社に就職してたら、
イラストの仕事がもう少し認められていたら
麦くんが多忙になってる中価値観のすり合わせをちゃんと絹ちゃんが提案できていれば。
後半はお互いに相手の考えを尊重・理解しようとせずに無関心なのがしんどかった。
「結婚してこのまま生活続けていこう」
とぬるーい感情のまま、恋愛感情がなくても家族形態が変わればいつかは丸く収まるよ
と麦くんは提案したけど
ファミレスで丁度あの時の2人のような男女の
キラキラとした恋の始まりを見かけて
麦も絹も号泣するところが悲しかった。
まあ家族になったら恋愛感情より
家族としての絆が強まるから形態は変わるけど、
根底には相手への尊敬があると思うし
終盤の2人みたいに「喧嘩すら起きない」のは結婚しても息が詰まるだけだよ麦くん、とは思った。
別れた後の方がお互い吹っ切れてて
「ミイラ展実は引いてたよ」
「浮気したことあったでしょ？」
「ないよ！え、あるの？」「え？笑」
という2人のやりとりから
ぴったりなお似合いカップルだと思ってたけど
そういうところも最初から微妙に価値観は違ったんだなあと。
絹ちゃんは浮気してたのかな……社長かな……コリドー街の男かな……笑
最後麦くんがGoogleマップで付き合ってた頃の2人を見つけて
純粋に喜んでたのがよかった。
あのパン屋があったところどうなってるのかな？って思い出す余裕が出てるところも含めて。仕事転職してたらいいな……。
あわよくばGoogleマップをきっかけにまた連絡をとって友達として仲良くなればいいな。
とは思うけど、お互いの今の恋人からすると邪魔な友達でしかないから難しいかな。笑
綺麗な楽しい思い出のまま終わった恋だから、お互いそこで終わりがいいのかなあ。
靴やトイレットペーパーや登場する作品の描写の移り変わりがよかったなあ。
調べてたら状況によって服の色が信号機みたいに変わってる、っていうのを見て
もう一回流し見したいなと思った。
あと、大学生の時の麦くんがかっこよくて
好みだった……
