だいすけ

静かなる男のだいすけのレビュー・感想・評価

静かなる男(1952年製作の映画)
4.0
全体的にコメディ色が強いけれど、ドラマとしてもよくまとまっていて、締め方も気持ちいい。男のトラウマと女の執着が描かれているものの、センシティブな印象は受けず、活気に溢れている。特に、男同士の決闘を町ぐるみで盛り上げるシーンと、一点の曇りもないエンディングが素晴らしい。

ジョンフォードの撮る自然は詩情に富んでいて好きだ。『我が谷は緑なりき』もしかり、故郷のアイルランドが舞台となると、映像美もひとしおである。美しい自然の中で育まれる豊かな人間関係を描ききったところに、彼の郷土愛がにじみ出ている。一方で、田舎の風習を自虐的に捉えている向きもある。ショーンとはまさにジョンフォードの投影で、故郷を離れたからこそ分かることもあるのだ。しかし、そうしたおかしな一面も含めて故郷を愛おしむ監督の姿を本作に見た気がする。
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