回想シーンでご飯3杯いける

クリスマスに降る雪はの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

クリスマスに降る雪は(2019年製作の映画)
4.2
中古レコード店を訪れた男女が、マーヴィン・ゲイとビースティ・ボーイズのアルバム・ジャケットに書かれた曲名を使って下ネタのジョークを交わす冒頭のシーンからもう最高。あの「ラブ・アクチュアリー」へのオマージュとして製作されたというNetflixオリジナルの新作は、特に音楽好きにおすすめしたい、お洒落で楽しいクリスマス映画だ。

「ラブ・アクチュアリー」との大きな違いは、舞台がイギリスの都会ではなく、アメリカの田舎街である事と、登場人物が高校生中心で、概ね校内の顔見知りである事。年齢層の幅が生み出すダイナミックな展開は抑え目になっている分、等身大のラブストーリー、群像劇としての密度は高めになっている。

出演しているのは、ここ数年のアメリカ映画を盛り上げている新人俳優達。「スパイダーマン」「DOPE」「レディ・バード」「ディセンダント」等に出ていたあの子!あの娘が!胸キュンの恋模様を描き出す様子が何とも微笑ましい。

そして何といっても音楽!終盤がダンスパーティーのシーンという事もあって、'70年代のローリングストーンズに始まり、マーク・ロンソン、ケミカルブラザーズ、ブリーチャーズ、タキシード等、ダンスミュージック系を中心に、かなり贅沢な選曲! 個人的にはウォーターボーイズの「あの曲」がかなり重要なシーンで使われていて胸が熱くなった。

従来のクリスマス向け劇場公開作品だと字幕や吹き替えを用意している間に年が開けてしまうというタイムラグがあって(例えばラブ・アクチュアリーは英米で11月公開、日本は翌年2月公開だった)、日本公開が見送られたケースも多かったのだと思う。ネット公開なら全世界同時公開も比較的簡単になるから、こうやって海外の人達と同じタイミングでクリスマス映画を楽しめる。これってとても素晴らしい事だと思う。