このレビューはネタバレを含みます
俳優の演技がすごかった。とくに一果役の服部樹咲が本当にすごかった。
中学生〜高校生くらいまで演じていて、どんどんBrilliantになっていくさまが本当にステキ。
内容としては、LGBTQがテーマなわけだけど、結末としては……トランスジェンダーの方のリアルを知っているわけじゃないけど現代の話とはあんまり思えなかったなぁ。リリーのすべてのラストを思い出した。
結局、凪沙のトラウマや承認欲求は満たされぬままだったためにああいうラストだったのかな。
凪沙は「女らしさ」にすごくコンプレックスを持っていて、一果のために献身的な母親役を全うすることで自分の女性性を認めようとしているように見えた。
でも本当の母親が出てきてしまったことで、彼女の承認欲求というか、「愛し返してほしい」みたいな気持ちは消化されなかったために、無理をして外国で手術をして「本当の女性」になってしまったんだろうなと思った。そうまでして一果を迎えに行っても、結局一緒にいることはできず…
そういう意味では、凪沙にも最終的に自立できるような内容であって欲しかったな。ちょっとLGBTQのステレオタイプという感じがしてちょっと残念な結末。
また、親友のりんの描写は中途半端だったな。ジェンダー的内容と親子関係と貧富の差のテーマとかも入れこもうとして、ちょっと溢れちゃった感ある…。
たぶん、りんと一果の関係性だけでもストーリーって成立しそうなのに、結局凪沙の話だからなぁ〜。
自分の承認欲求を自分一人では解消できなかったトランスジェンダー女性と
お金持ちでも幸福じゃなかった女の子、
貧乏で愛を知らないけど才能ある少女…。
ほかにも母親にむいていない実母、てのも出てきて、そのキャラクターも魅力的なんだけど彼女が更生できた理由も語り尽くされていないし、
もっと深堀りしてほしかった。
一果の才能のためだけに苦手な母親になれたのか？？
それとも凪沙の存在が影響を及ぼしたのか…？
テーマ性はよかったしすごくいい話だったんだけど、入れこんだメッセージの回収がしきれていない感じがした。
