トランスジェンダーの女性と少女の交流を描いた物語。
トランスジェンダーであることで心も身体も傷つきながら生きる凪沙と、シングルマザーで劣悪な家庭環境で育ったことにより精神的にアンバランスで心に傷を負う一果。
二人には一見共通点はない。しかし、お互いの痛みや傷を共有することで、二人の関係に変化が起きる。
凪沙と一果の関係で描かれるのはただの愛情による良い面だけではない。お互いを理解するからこそ生まれてしまう依存の面も映し出す。
その描き方が秀逸で凪沙の決断や行動に説得力があり、綺麗事だけではない、別性になることや家族になることの生々しさが心に刺さった。
ラストは賛否両論あるかもしれないが、それが本質ではなく、二人の関係やそこにある生々しい傷や愛情に注目する作品のように思う。
