あすか

ミッドナイトスワンのあすかのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.6
こんなに重いなんて知らなかった…うっかり平日の夜に再生してしまった…
LGBTQに関して、かなり世に知られてきた話ではあるけど、実際に私も出会ったことはないし、理解しているとは言い難い。何事も経験してみなければ知ることはできないのに、私はいわゆる“普通”側で、その苦しみは計り知れない。この映画のようにひどく苦しいかもしれないし、もしかしたらそんなことないわよという話かもしれないし。
ただ言えるのはこの世には人の数だけきちんと地獄があって、その深さは他人が測るようなものではないし、みんながみんななんで私だけって思ったこと少なからずあるんだろうな。
そんな人間同士が出会って、支え合って寄り添いあって生きている世界を描いた映画だった。社会的に見た時の弱者と思われる存在を。弱者とはって感じもするけど。

一果の考えていること、最初から最後までほとんどわからなかった。ただただバレエがすきでその才能に恵まれたことだけが光輝く。
圧倒的な光の前で周りの人間はひれ伏すしかない感じもした。
りんと一果の関係性が危うくてひやひやして美しかったけど、りんの最期のシーンはぞっとしたな。不安定そのもののようで怖かった。一果もそうだけど、毒親育ちの独特な雰囲気という感じなのかな…

母になりたいと願ってしまったトランスジェンダーの末路としてはかなり悲惨で、なんてつらいことを突きつけてくるんだろう。母になりたいと願っただけなのに。
私は女だけど母になりたいとこんなにも強く願ったことは一度もない。何故望む人のところに与えられないんだろう。全てがそうだと思う。
お金持ちの家に生まれなくても、親に大事にされなくても夢を掴み取った一果は強い。女に生まれなくても、未来に不安定さしかなくても一果の夢を支えた凪沙も強い。

最初は冷たくて怖い人なのかと思ったけど、繊細で優しい凪沙が苦しんで泣いて泣いて虐げられてあの最後なの本当につらかった。何も悪いことしてないのに。本当は子供だってすきなんだよね。
草彅剛の演技こんなに上手いと思ってなかった…すごい…一果役の子も、バレエの動きとかすごい…本当に綺麗だった。

なんか全然うまくまとまらない…感情が複雑になる映画だった。
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