Ayaka

ミッドナイトスワンのAyakaのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.0
身体と心の性が一致しないトランスジェンダーの主人公が、母親からネグレクトされている親戚の少女を預かるところから始まる物語。

憑依型役者・草彅剛の本領発揮。
当然ながら、劇中ではほとんどのシーンで女性の身なりをしていますが全く"演じている"感がなく、男性の姿に戻るあるワンシーンでは、本来であればそれが草彅くん本人と同じ姿であるにも関わらず、そこに立っているのは"凪沙"その人にしか見えなかった。
凄まじかった…

凪沙と生活を共にすることになる一果を演じた服部樹咲ちゃんも素晴らしかったです。
エンドロールで「(新人)」と表記されてることに違和感を感じるくらいの存在感。
オーディションの時に監督が「この子が草彅さんと芝居するところを見てみたい、と強く感じた」と後に語っていましたが、お芝居ももちろん、バレエシーンの美しさ・しなやかさや表現力にも魅せられました。
これはすごい新人が現れた…

夜の闇の中、「どうして私だけ」と繰り返しながら涙する凪沙。
戸惑う一果に「こんなの、少し泣けばそのうちおさまるわよ」とぶっきらぼうに言いながら泣き続けるその姿から、凪沙はこれまで一体何度、泣くことしか出来ない、やるせない夜を過ごしてきたんだろう…と思いを馳せてしまって、胸が締め付けられた…
自分では泣いてる意識もないまま、エンドロールで気付いたら自然と涙が…

私自身はトランスジェンダーの方々の気持ちを100%理解することは出来ないけれど、彼らが彼ららしく生きられる世界を作っていかなくては、と強く思いました。
心にずーんと重く残るので、賛否両論あると思いますが、LGBTに注目が集まる今、出来るだけたくさんの人に観てほしい作品。
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