ロビン

由宇子の天秤のロビンのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.2
とにかく強烈にヘヴィな作品だけれど傑作!
この作品は本当に劇場で観て良かったと思えた。
2時間半と長尺だけれど、あまりに作品にのめり込んでしまいあっという間に終わった感じすらする。
しかしながら、観終わった後はかなりの疲労感に襲われた。
当初この作品と『空白』を同じ日に鑑賞するつもりだったけれど、同じ日にしなくて大正解。
同じ日に観ていたらたぶん気持の整理が追いつかなかった。。

ドキュメンタリー監督である主人公の由宇子は、徹底的に真実を追い求めようとする自分と、自分の保身のために何がなんでも真実を覆い隠そうとする自分という、相反する矛盾した状態に陥っていく。
ストーリーはこの真実を追い求める行為と、真実を覆い隠そうとする行為をまるで天秤にかけるように進行していく。
なのでこの「由宇子の天秤」というタイトルが秀逸だなと思う。
由宇子役の瀧内公美を筆頭に出演者の演技も素晴らしいし、ジリジリとした緊迫感を常に醸し出す演出も絶妙。

また本作を観て改めて多くのメディアは、メディア側にとって都合の悪い部分は切り取られていて、必ずしも真実が伝えられていないということを肝に銘じとかなければいけないと痛感した。
そして現在のネット社会においては、ある日突然に誰もが加害者にも被害者にもなり得ることも。。。

劇中踊り場で女子高生のメイと由宇子二人が後ろ向きで、由宇子がメイに「1本ちょうだい」って言うので“えっ!タバコ?”って思わせておいてパンのチョコスティックだったのは笑った。

【ネタバレ】
  ↓


  

由宇子はメイに対してはあくまでも中立に接していたのだけれど、塾の男子生徒の一言でメイへの偏った視点を生んでしまった。。
天秤が片方に大きく振れたのはこの瞬間のような気がした。。

しかしその後、由宇子の元を走り去ったメイが意識不明の重体の事故にあう。
自分の父親には「本当の事を言うのは自分が楽になりたいだけ!」と言っていたのにもかかわらず、自責の念に駆られてメイの父親に事実を話した時に、また逆側に天秤が大きく揺れた。。

ラスト由宇子自身がスマホ動画の撮影対象となり一体何を彼女は語ったのか。。
観てみたいような観たくないような。。
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