Jun潤

アントマン&ワスプ:クアントマニアのJun潤のレビュー・感想・評価

4.1
2023.02.19

2023年MCU初め。
気付けば今年は『エンドゲーム』でサノスとの最終決戦が勃発した年、ついに現実の時間がMCUに追いつきましたね。
そして今作でMCUもフェーズ5へ。
『アベンジャーズ』シリーズの直後に入るなどなかなかクセのあるタイミングでぶち込まれる『アントマン』シリーズ。
今作はどうやら『エンドゲーム』でキーワードとなった「量子世界」を軸に、今後の『アベンジャーズ』におけるサノス的役割を果たしそうなカーンが映画作品に初登場。
『ロキ』に出てきた変異体(?)は変なおじさんでしたが、予告のカーンはつよつよおじさん。
自分の命犠牲にしがちだったり、大変なことに巻き込まれたりと物語的に不遇なアントマンは、果たして3作目ではどのようなヒーローの姿を見せてくれるのか。
今回もIMAX3Dにて鑑賞です。

“アベンジャーズ”が“サノス”との戦いに勝利する大きなきっかけとなった、アントマンことスコット・ラング。
街の人から慕われ、ホープとの恋仲も順調だった、誰に似たのか正義感が強く好奇心旺盛な娘のキャシーを除いて。
スコットの知らぬ間に刑務所に入っていたり、ホープとハンクと共に量子世界の研究に没頭していたりと、スコットの悩みは尽きない。
そんなキャシーが量子世界を研究するための衛星を開発し実験を開始、かつて30年間量子世界に閉じ込められていたジャネットによって実験は中止となるが、突然装置が再起動してスコットら5人は量子世界に入り込んでしまう。
彼らが目覚めた先に広がっていたのは、未知の空間と未知の生物、謎の文明だった。
離れ離れになってしまったホープら親娘とスコットら親娘は、それぞれジャネットが隠していた秘密や故郷を追われた現地民たちから、量子世界の支配者・カーンの存在を知る。
カーンにキャシーを人質として捕らえられたスコットは、彼の企みに手を貸すこととなり、ホープらはカーンの企みを阻止するべく行動を開始。
量子世界の絶対王朝に、二組の家族が立ち向かう。

フェーズ5の滑り出し良いじゃないですかぁ。
宇宙が舞台でもだいぶ頭沸きかけてて、ただでさえマルチバースやら神聖時間軸やら出てきてイマイチ飲み込めていないところに量子世界。
鑑賞中ずっと頭動かしてないと置いてけぼりを喰らいそうになる。
映像も主なというか99%の舞台が意味不明な量子世界のため、MCUのアクションシーンの見やすさがギリ担保されるレベルのほぼアニメーションで映像酔いしそう。
途中まではどうかなーと思いましたが、さすがMCU、いやアントマン、1作目を彷彿とさせるシーンやこれまでの積み重ねがあるからこその熱いシーンがあって評価爆上がりしましたね。

『アントマン』シリーズでは家族が主題となっている印象ですが、今作でもそれは健在。
家族全員ヒーローな、どこのスーパー戦隊だよとなるものの、一斉変身は無くそれぞれに独自の見せ場アリで◎。
3作目にして改めてシリーズを振り返ってみると、スコットはほとんど巻き込まれてばかりで、ヒーローらしい考えを持っていそうになかったり、明確に人助けしてなかったりなど、マーベルヒーローとしてはまぁまぁ異端児。
そんな彼は今作でも家に帰りたいだけなのに量子世界のいざこざに巻き込まれるという相変わらずっぷりでしたが、最終的には親としてのカッコいい姿を見せて量子世界も救ってしまうのだから嫌いになれませんよ。

『アントマン』にて存在が語られ、『アントマン&ワスプ』で設定が盛り盛りになり、『エンドゲーム』では最重要ポイントの一つとなった量子世界。
今作ではついにその全貌が明らかになりましたが、なんとまぁ気持ちの悪い世界だこと。笑
『ストレンジ・ワールド』よろしく変な方向に振り切っているディズニーのルッキズム、不思議なことに見進めると愛着湧いちゃうんですよね。
『ロキ』に出てきた“神聖時間軸”や、今後のMCUの根幹を為す“マルチバース”との関連を考えると頭がこんがらがりますが、カーンが追放されたと聞くとあら不思議、解釈出来上がり。
おそらくはあらゆる時間や空間、宇宙に存在する量子世界が繋がっているのでは……!?
他作品でも色々とマルチバースや時間の流れに干渉しつつありますし、今作から本格始動と見られる“マルチバースサーガ”も見逃せませんね。

キャラクターについてはまず、『エンドゲーム』以降ラストバトルが乱闘になりがち。
これはこれで良いのですが、やはり『アベンジャーズ』という極値があるので、単作では個の活躍を観たいところ。
今作で言うと故郷を取り戻すために色んな人が立ち上がった!な感じで、特徴的なキャラもいたものの、どこかで見たような気もなくも無い。
カーンについては、『ロキ』に出てきた変異体とは全く違っていますが、どうにもイキりおじさんの域を出ていませんでした。
しかしそれもそのはず、このカーンはカーンの中でも最弱……な感じで、単作のヴィランの魅力には繋がりませんでしたが、今後の楽しみにはなったかなと思います。
量子世界という小さな小さな世界の砦の段階で、サイズ自由ヒーローがぶっ倒す!な感じにアントマンらしさが出てましたね。

そして何といってもアントマン&ワスプ。
スコットは娘を深く想うがあまり自己犠牲の精神が強く、捨て身の作戦に出がちですが、そこを救うのがワスプことホープといった感じが今作では前面に出ていて、良いバディものを観た気分です。
他にもサプライズキャラの登場や成長したキャシーの姿から一作目のオマージュを感じますし、ラストのタイマンでは「小さくなる」という個性を封じて父親として闘うスコットの姿が胸にキました。

エンドクレジットではまさかのキャラの登場に、帰ってくるのはカーン……。
既に発表されている作品的にカーンが帰ってくるのはわかりますが、ソーの他にもキャプテン・アメリカやスパイダーマンも4作目がありそうなので、アントマンの活躍は今後も見たいところ。
Jun潤

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