悠

エルヴィスの悠のレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
5.0
エルヴィス・プレスリーの音楽にスポットが当たってるのがとにかく良い!
ルーツがブラックミュージックであり、
カントリーとの融合が彼のロックンロール
であるのは字面では知ってたけど
音楽付きだとその説得力が凄かった…
スターの栄光と孤独だけを描いてたらつまらなかったと思うけど
とにかく音楽の構成がとても良い!
バンギャは須らく観るべし。
めちゃくちゃ良かった!
Spotifyでエルヴィスの曲聴きまくってから行ったのでより楽しめた。
声が良すぎる……
最後の本人映像は泣いた。
生で歌声聴けた人が羨ましい。


下着投げ込むのここがルーツなんだwww
って面白かったww

1940年代の南部で黒人居住区に住む白人って
想像できないくらい厳しい状況だと思う。
でもそこの黒人達は白人のエルヴィスを排除しなかった。
裕福な黒人が白人居住区に行けないどころか
迫害される時代。
分断が正義とされた時代において
黒人音楽を奏でる白人のエルヴィス・プレスリーは異端中の異端だったろう………
でも彼に魅了されたのは黒人の次に抑圧されてきた白人女性、そして若い男性。
少年時代に黒人の包容力とゴスペルの力強さを身に着けたんだなぁとゾクゾクした。

白人男性は白人男性で
爽やかマッチョマン
ってイメージが正しくてそれに矯正されるので
人間は愚かだなぁと思うわけです。
エルヴィスは全てと闘ってたんだな…

まぁ、大佐は結果的に酷いけど搾取に関してはこの直後のジャクソン5とかまじで地獄だったし、
まだ金銭と睡眠薬程度ならマシだよ…って思ってしまった…
ヤク漬けにされるロックンローラーめちゃくちゃ多いしね…
海外ツアーだって、良い事かと言われたらどうかなって思うし。あれはあれでスタッフ養うとかで金が吸われて毟り取られる興行だったりするので…メンバーが豪遊したりするしね。本人がホテルに警備理由で軟禁されてても。

まぁ、面倒なことは誰かに丸投げして自分はやりたい事だけやるってのか最初から間違ってるのでそこはお互い様だと思います。はい。

大佐「誰がエルヴィスを殺したのか?私?いやファンの愛だよ」
がですね…言い得て妙だと思うのですよ……
プリシラも感じた「私の愛はファンの愛には敵わない」ってのね
ファンの愛は狂気であり、共依存であり、果てしない不安と安堵の繰り返しだと思うのですよ。
特にエルヴィスのような若い女性の内なる感情を解放してしまうようなヴォーカリストには麻薬と同義であったと思う。

ボヘミアン・ラプソディと比べられがちかもしれないけど
アプローチが違うと思う。
あれはフレディ自身にスポットが当たってて
彼の愛とか内面とかバンドとかの話。
音楽性はわりと確立されたものとして話が進んでた。
エルヴィスは彼の音楽と魂の話。
バンドマン達にも刺さる映画じゃないかな。

ブラックミュージックの魂の叫びと荒々しさと
カントリーミュージックの穏やかさと
エルヴィス・プレスリーの魅力はそれらを融合できるtendernessだと感じた映画でした。
凄く良かった。
ロックンロールや音楽への解像度がまた1つ上がった気がする。
悠