悠

バビロンの悠のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.2
エログロ!狂気!羨望!狂気!絶望!狂気!そして狂気!
そんな映画でした。
相当に人を選ぶ映画だと思うけど私はめっちゃ面白いと思った!そして好き!
人に勧めるのは躊躇するけど(笑)
あの酒池肉林、乱痴気騒ぎもLAだから「在った」と思います。狂気を映画として観るのは好きだけど絶対にあの中には入りたくないですね!!
とにかく映画のための映画かな。
映画好きで色々観てると所々ニヤッとできるw
サイレントとかトーキー映画と言われてた頃の映画は詳しくはないけど、「雨に唄えば」の曲は凄く好きでよく聞いていた。
ド派手なシーンばかりじゃなくて、このサイレントからトーキー映画への変化をコメディではなく切実な問題として描いていたのが良かった。進化を求めていたけどそれに置いていかれる淋しさとか……
今もその進化の真っ只中なんだけどね。

映画を撮るのは「スタジオ」もしくは「ロケ」ってイメージだけど、最初にマニーが「セット」って表現しててこれは英語だからかな?って思ってたらマジで「セット」だったの面白かった。そうか、サイレントだと音がそもそも入らないからカメラの前だけの世界で成り立つんだ!と。
中世の戦争風なシーンにめっちゃ笑ったww
過酷すぎるだろ…………
日光による天然のライティングでしか成り立たない時代かぁ…
分かっていたつもりだったけど、あの一連のシーンを見るまで想像できなかった。
全てが面白かったし、その後のスタジオでの撮影のピリピリ感がより一層感じられた。
過渡期に立ってしまった人々の努力と適応力と忍耐に敬意を払いたい。

楽曲がどれもこれも素晴らしいし
トランペットやサックスなどのアップテンポなジャズ演奏が迫力満点で最高だった。
ちょいちょいオマージュ的な曲があってニヤニヤしちゃった。
映画音楽組曲みたいなの。

ハリウッドの光と闇とかスターダムからの転落かと思ったらハリウッドの闇と闇の話だった。

私は3時間あっという間だった。
なんか謎の満足感と感動。
この言葉を思い出す。
「いやぁ、映画って本当に良いものですね」

これから観る人は飲食しながらの鑑賞はお勧めしません!!!!(笑)




個人的にはラ・ラ・ランドは全く刺さらなかったけどこれは凄く面白いと思ったので性根が下衆なのかもしない…

数日経ってからもじわじわ来てる。
ずっとサントラ聴いてる。最高。

ネタバレ的な
●黒人であるシドニーに黒塗りを強要するマニー。シドニーの表情がもうしんどい。筆舌に尽くしがたい程の屈辱であっただろう。それをメキシコ人のお前が言うのかマニー。公民権運動が盛んになる1960年代よりずっと前。それでもぐっと堪え、毅然とした態度でキノスコープを去った姿はカッコ良かった。人としてこうありたい。トランペットのハイトーン最高だった。
●アメリカのしかもLAの上流階級がイギリス風なのへそで茶を沸かせるね。非常にくだらない。ネリーよ、よくやった!ここはアメリカだ!(ゲロはやりすぎですがw)ここでマニーがスペイン出身って言うのマジで卑怯だと思ったけど仕方ないのも分かる。身なりが最初から良かったので不法入国ではなさそう?
悠