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エルヴィスのSAtone52484のレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
3.2
パーカー大佐のキャラが濃すぎて… なんだか嫌〜な気分に。エルヴィスの功績や人間的な深みが感じられず、残念。



『ムーラン・ルージュ』も『華麗なるギャツビー』も好みの作品だったので、バズ・ラーマン監督だからと期待したんですがね…
やはり実在の人物を描いたからでしょうか、ゴリゴリでギラギラの華やかな歌と踊り、独自の解釈でアレンジされたビートの効いた音楽、が圧倒的に足りない!!!←私が勝手に期待していただけですが笑

私はエルヴィス・プレスリーのこと、ほとんど知識がないので、(だからこそ)忠実な再現よりも、社会的背景やエルヴィス自身の背景などを投影した音楽・歌唱を期待していたので、そのせいもありますね。
もちろん、エルヴィスが現代にもつながる音楽に絶大な影響を与え、センセーショナルなパフォーマンスで一世を風靡したこと、ちゃんと描かれていて、伝わりました。
若い世代からは熱狂的に支持されながらも、保守的な価値観を持った人々からは危険視され、苦労・苦悩をしたはずなのに、いまいちそれが伝わってこない。
それは、パーカー大佐(トム・ハンクス)との関係こそが、彼の人生において最大の課題だったかのように演出されており、彼がエルヴィスを徹底的に貪り尽くすように描かれたからに他ならないと感じます。

パーカー大佐の「俺がエルヴィスを見つけたんだ」「俺もエルヴィスの成功の一部なんだ」感は、観ていて本当にイライラさせられました。
つまり、ハンクスの演技がそれだけ素晴らしい、ということなのですが、それにしたって腹が立つ。笑
エルヴィスは何度もパーカー大佐との決別を試みるも、結局うまくいかない、それがさらにイライラさせるんですよね。
若かりし日に描いた夢が消え、自分が何をしたいのか分からなくなり、ただただ自分に熱狂するファンからの「愛」が感じられるステージに立ち続けた姿は、もはや痛々しい。。。

エルヴィスの偉大さではなく、そういった人物であっても、お世辞にも優秀とは言えない(そして自分の目先のことしか考えられない)マネージャーをいとも容易く信用してしまい、生涯働き続けることになる、というなんともやるせない面にフォーカスされているので、ド派手エンタメを期待せずに鑑賞することをおすすめしたいです。

オースティン・バトラーのなりきりっぷり、素晴らしかったですよー。
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