ルイ・マル監督作品…撮影監督はブレッソン作品も手掛けるギスラン・クロケ…。
『オスロ、8月31日』と原作は同じく、ピエール・ドリュー・ラ・ロシェル『Le Feu Follet』(ゆらめく炎)…原題も『Le Feu Follet』です…。
« La vie, elle ne va pas assez vite,
alors je l’accélère. »
人生の歩みは緩慢すぎる…自らの手で速めねば…
アルコール依存症の為、施設に入院治療中のアラン(モーリス・ロネ)…アルコールを断つことで紛れもない"現実"が彼を襲い…"死"が纏わりつきます…。
彼の部屋の中にはM. モンローや様々な死亡記事、彼を愛さなかった妻の写真…そして鏡には7月23日の文字…それは彼の人生最期の日…。
拳銃を点検し、旧友を訪ねる為にパリへ向かいます…。
家庭を持ち可愛い子供も授かった者…
薬と夢想で刹那に生きる芸術家たち…
(ジャンヌ・モロー…etc.)
今もなおブルジョワ生活を楽しむ者たち…
生きる為の理由を友人達から見出そうとするも…やたら空虚なものに見えてしまう…。
虚しさ…孤独…そして絶望…。
「奴らの確信…あの落ち着き…瞳には輝きがなくなった…さよなら凡庸な日々…」
彼の魂の彷徨にぴったり寄り添うように流れるエリック・サティの『ジムノペティ』『グノシエンヌ』が実に巧妙…説明的な台詞が省かれた空虚さを雄弁に埋めてくれます…。
詩的で抽象的…時には哲学的な台詞やモノローグも世界観にピッタリ…支離滅裂な彼の心境の境地を感じさせますし、カット割りも素晴らしい…。
そして翌日、療養所に戻ったアランは…。
✎︎ 鬼火とは…葬儀の出棺の際の門火のこと…。
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