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バビロンのtamagoのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
3.8
サイレント映画からトーキーへ移行する時代のハリウッドで、のし上がっていく若手女優、プロデューサーと時代から取り残されていく大物俳優達の栄枯盛衰を描いた大作。

チャゼル監督の映画愛が強く感じられる作品だと思いますが、露悪的過ぎて後味は決して良くないのが、僕には合いませんでした。
でも、この監督さんはやはり音楽のセンスが抜群で、劇中のバンド演奏の迫力とテーマ曲の美しさには心を強く揺さぶられました。観終わってからも、テーマが耳から離れなくて、余韻に浸らせてくれました。
音楽は、監督デビュー作から一貫してジャスティン・ハーウィッツさんで、どの作品も素晴らしいです。

チャゼル監督の作風って、基本的にダークで、人間の暗いところにフォーカスしてると今作で確信しました。
自分のエゴとの葛藤とか、変わっていく(というか、壊れていく)人間関係とかに切り込んで行ってて、そこはヒリヒリした鋭さがあって好きです。
『セッション』、『ファーストマン』しかり。
『ラ・ラ・ランド』は普通のミュージカルと見せかけといて、実はかなりの苦さを含んだストーリー展開でしたもんね。

今作はカメラワークも素晴らしくてそれだけでも観る価値はあると思います。
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