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ベルファストのtamagoのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
アイルランドでの宗教紛争を背景に一人の少年の成長を描くケネス・ブラナー監督の自伝的物語。

冒頭のカラーでの日常的な風景から、モノクロームへの移行が一気に現代から過去へ遡ることを視覚で訴えかけてきて、物語に引き込まれました。それが、エンディングへと繋がるところも秀逸。

なんでもない日常が、突然の暴力により壊されていく。さらに故郷を捨てるかどうかの選択を迫られる。観ていて息が詰まる思いになりましたが、主人公の少年の微笑ましい日常のエピソードと織り交ぜられて描かれることにより、なんでもない毎日の大切さに改めて感謝したくなる気持ちになりました。

現実は厳しいけれど、それを乗り越えていくことも、生きていくということ。その中で輝く小さいけれども何ものにも代え難い幸せがある。それを感じられる、生きていくって、そういうことなんかなと思いました。
それを突然奪う、今も世界中で起こっている戦争、紛争に思いを馳せざるを得ない、今こそ観るべき作品だと思います。

ママ役のカトリーナ・バルフさんの存在感が際立っていました。『フォードvsフェラーリ』も良かったけど、今作の母親像は、唯一無比で、観ていて元気をもらえました。
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