阪本嘉一好子

The Quiet One(原題)の阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

The Quiet One(原題)(2019年製作の映画)
5.0
偉大なストーンズの中にもこんな人が存在していたんだ。

アーカイブを記録する人と名前がつくほど、ビルワイマン(ローリングストーンズのベース)は写真、ヴィデオ、音楽、コンサートのチケットなど図書館蔵書のにように整理整頓して自宅に保存している。この映画はこのコレクションのビルを中心にドキュメンタリー化したものだ。

個人的にはローリングストーンズに注目したことがないし、ましてや、目立たなかったビルになど。彼の名前は知っていたが、こんなにオタクタイプだとは思わなかった。ブライアンが麻薬の使いすぎで、そしてストーンズをクビになり夜中プールで死んだ時も、自分は麻薬から遠ざかっていたと。それは、正解だが、長年のバンド仲間をいたわるようには思えなく、結構自己中だと感じてしまった。
フランスに越した後、ニースでジェームスボードウィン(私個人の憧れの作家)にあった。ジェームスはレイチャールズが好きだった。ビルはレイチャールズに興味があり、レコードを貸してくれと頼み、それ以来、生涯レイチャールズのファンになった。ビルの趣味はいいね。

彼が感情的になったところは晩年になってレイチャールズに一緒に演奏しないかと言われ、『私は一緒に演奏するほど実力がない』と断ったシーンだ。ビルはきっと一緒に演奏したがった(レイチャールズと練習する時を過ごしたかった)と思うが、この話をあるインタビューで話した時は、言葉に詰まって、泣き出しそうだった。若い時でも自分のことをミュージシャンだと言わず、バンドのメンバーだと言っている。彼は自分に自信がないのか謙遜しているのか内向性な人なので、私には理解できていないと思う。