字幕版を鑑賞。
一幕目の早い段階で物語の構造に気付き、仕掛けとしては面白いが、あからさまに『ゲット・アウト』の2匹目の泥鰌狙いで、トランプ政権下のアメリカの社会状況の戯画化としては極端かつ陳腐だと感じる。
だが二幕目に入ると、ちょっと違った思いが湧いてくる。
一幕目での苛酷で理不尽な境遇に同情を寄せていた筈の主人公なのに、二幕目の回想パートを観ていると、そのハイソでリッチなリベラルインテリ振りがちょっと鼻に付いて感じられる。
そこで自分は、「虐げられて必死に自由と平等を求める二級市民としての黒人」を無意識の内に求めている事に気付かされる。
その意味では、『ゲット・アウト』が差別される側である黒人の潜在的な恐怖を描いたのに対して、この映画は黒人を常に自分達の下位に置いておきたいという大多数の白人層の潜在意識をこそ描きたかった様に思える。