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フード・ラック!食運のnamのレビュー・感想・評価

フード・ラック!食運(2020年製作の映画)
3.7
「ただのグルメ映画でなく誰かのために料理を作る事へのリスペクトや愛を描くヒューマンドラマに!」

寺門ジモンさんが監督と聞いて正直そんなに期待はせず、まぁ料理は美味しそうには撮れてるんだろうなーくらいにハードルを下げて望みましたが、意外にも楽しめました。

ジモンさんの最近のイメージは本当に美味しいお店は知ってるだろうけど、ちょっと圧が強そう、ウンチク多め、ウルサイ、ちょっとイタいくらいな感じもありましたが食へのこだわりといういい面がきっちりと映画に活かされ、圧の強さはクールなNAOTOさんが演じたり、横にキュートな太鳳ちゃんがいる事で緩和され見やすいいいバランスになってました笑

ジモンさんが憑依したかのようなグルメライターの佐藤(NAOTO)と新人編集の竹中(土屋太鳳)が新しいグルメサイトで「本物の焼肉屋」を掲載するために様々なお店に潜入していくというストーリーの中で、かつて佐藤の母親が経営していた焼肉屋の閉店とその理由、母親の味を再現するという母と息子のストーリーを折り混ぜる事でいい感じのヒューマンドラマに。

そして本物の味を知っていたり。プロの料理人達と交流してきたジモンさんだからこその料理を巡る名言や昨今のグルメ業界への風刺、食べログ信者やエセ食通、熟成肉や赤身ブームなどに群がる一般客など、さらにはSNSや批評家達による記事によって倒産に追い込まれる店もあるという考えさせられる題材も多かった。

特に観たら焼肉が食べたくなる事必至な美味しそうなら撮れた焼肉の映像はどのカットも素晴らしく、さらにそれを美味しそうに食べる土屋太鳳ちゃんの幸せそうな表情は100点です!

もちろん初監督としてのストーリーのテンポや流れ、演技の演出などまだまだな部分も多いですが、料理をテーマにお店とお客さん、そして家族である母と子どもなど誰かのために料理を作ることへの感謝など普遍的なテーマにまで広げる事で王道の感動ストーリーとしても楽しめるので意外にも良かったです。
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