ザリくん

星の子のザリくんのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.8
新興宗教二世となった子供は生き方の選択を迫られる。心は温まり、肝は冷えた。

この作品は新興宗教を否定も肯定もしない。
キャッチは「ちひろだけが、大好きな両親を信じた。」宗教に呑まれた両親への家族愛は、信じることなのか、離れることなのか。どちらが幸せか否かを第三者が判断することは出来ない。映画の中では姉妹どちらもそれなりに終幕時点では幸せそうではある。(将来どうなるかは分からない。)

姉妹は勿論、脇を固めるモブも良いキャラしている。友達全部良い奴でほっこり。サバサバしたなべちゃんは貴重な距離感の友達。
作中で宗教に非難の目を向ける叔父と南先生。叔父は普通に親切から心配する親族だったが、南先生の立ち位置が良い。岡田将生は爽やかイケメンに見えて(悪い意味で)等身大の人間臭い役を演じるのが上手いな〜(ずっとそんな役やってる気がする)
「その変な水もしまえ!」は笑う。
その他の登場人物もリアルで良かった。

ヒヤヒヤした流れは作中2つ。ネタバレ注意。

ちひろの青いストーカー(とも言えない程の可愛いものだが)行為がいつ南先生にバレて爆発するのかとヒヤヒヤ
→普通にバレててやっぱり爆発した、芦田愛菜の演技が凄い。親戚の好意を断ち切った後のこれは効いた。

リンチ行為が行われる噂もある宗教集会で、人気のないところに呼び出されるラストの展開。殺されるんじゃないか?姉は消されてしまったのではないか?とヒヤヒヤ
→ミスリードで良かった。しかしこの「両親に殺されなくて良かった〜」と思わされたのが異常。家族愛に絆されて(その他の要因もあるが)ちひろは現状維持でいくことを決めてしまった。緊張から緩和が来て温かい気持ちになるのだが、本当ひこれで良いのか?と思わせる見事な終わり方だと感じた。大人な姉とまだまだ子供な妹、の振りがちゃんと結末に効いている。

いつか星が見えるといいね…としか言えない。

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2022年7月
宗教二世による大事件が起きてしまったので追記。ちひろの行く末がとにかく心配である。
ザリくん

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