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ミス・アメリカーナのhi1oakiのレビュー・感想・評価

ミス・アメリカーナ(2020年製作の映画)
4.0
ぶっちゃけ曲作りのシーンとかは“見せるために撮ってるよね”と思ってしまうけど、それによってテイラー・スウィフトの“カントリーを出自としながら保守派の怒りを恐れない(あるいは正しく恐れる)”という姿勢が揺らぐことはない。

ミュージャンのドキュメンタリーというと、普通はその苦労から煌びやかな成功を重心として描くものだけれど、この作品は有名になればなるほどメディアから酷い罵声を浴びせられる(ちゃんとそこも見せている)んだよね。それは“成功”ではなく“成長”を描くという選択をしているからだと思うんだけど、それはテイラーが“成功”した故にできているという側面もある。
過去のセクハラやパワハラが告発された時、“なぜ今言う?”という声があがるけど、個人の問題ではなく社会の問題として主張したいなら、耳を傾ける人が多いタイミングを利用した方が良いに決まってる。テイラーは“自分のような思いを他の人にさせたくない”というメッセージと、それはもう政治から変えていかないとという使命感も表明している。
テイラーだけではなく、世界には政治的立場を明らかにしているトップアーティストは沢山いる。
保守とかリベラルとか右とか左とかに安易に分けて単純化して、結局のところは政治家も民衆も自分の思想を押し通すために表面的に政治的選択をしているのが現実という現状。
そうではなくて“いや、これ絶対おかしいよね”という声を、その時点で“声の大きい(影響力のある)”人があげてくれるのは大事。
日本はどうだろう?ヒップホップとかインディーズシーンだとそういう人もいるけれど、その側面が音楽ニュースで切り取られる事はほとんど無い。所謂トップアーティストと言われる方々は言わずもがな。

2024年2月のテイラー来日公演で、キャーキャー騒いでいた芸能人やインフルエンサーの方々、そんなに好きならこのドキュメンタリーは当然観てますよね?
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