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プロミシング・ヤング・ウーマンのIのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

あるあるのオンパレード。スカッとより、何で女がここまでやらなきゃいけないんだっていうやるせない気持ちのが強い。
美人でスタイルが良くて勇気があって頭が良くて強くて自分の幸せを捨てられる覚悟がなければ正しくできない、スカッとできないって不憫すぎる。これを観終わっても、夜道を歩くのがこわいし、それを思うのは女だけって思うと悔しいし腹立つ。この作品を見てもセクハラ男には響かないし、かわらないんだろうな。
そもそもそういう人は感度の高い映画を観ないっていうのは、エメラルド監督が大衆受けするように演出を工夫しているけど、やっぱり越えられてない壁だと思う。

せっかくならもっとキャシーにめちゃくちゃに暴れてほしかった。
『ミッドサマー』は笑っちゃうくらい不謹慎で監督の怨念やばいし、絶対監督やばい人だと思ったし胸糞悪かったけど、今思うと作品としてはあれくらい怖いほうが面白いし、あんなに現実離れしてやばすぎるのにるのに、実際の傷ついた人の気持ちや想像力ってあっちの方が近いと思う。(個人差はあれど)当たり前だけど、死ぬことで復讐なんてできないし、なんでこっちが死なないとならないんだって。
少しトーンを抑えてつくったのかな、監督は優しい人なんだろうな、加害しちゃだめだもんね。(加害してなくはないけど)でもまろやかに薄められすぎていて、もやっとしちゃう。
『ハンドメイズテイル』の復讐も(まだ最後まで観られてないけど)倫理的にはかなり悪いけど、でも実際正直はあれくらいの気持ちだから、スカッとできるんじゃないか。実際スカッとした。
レイプは心の殺人っていう言葉は本当にその通りで、レイプ犯は死刑になるべきで、しかも精神的に苦しまないとならないっていうのは、された側は普通に思うと思う。(個人差はあるけども)それくらいの刑じゃないと見合わないくらい凶悪なことだし、被害者は苦しむし人生終わる。

一方で、バールで暴れた後に少し反省する描写は等身大で良かった。
キャリー・マリガンが監督とのインタビューでオファーを即受けたと言ってた通り、ノリノリで演じてる感じが伝わってきたのも良かった。ライアンはどこかで見たことあると思ったらボーバーナムだった。男性キャストも理解ある俳優陣だったらしく、そんな人たちがあんな典型的なセクハラ男性を演じていたんだと思うと面白い。

個人があんなにがんばるんじゃなくて、社会が正しくなってほしい。
女性に優しく、とかじゃなくて、普通に安心して生きられる社会をください。
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