オザキ

映画 えんとつ町のプペルのオザキのレビュー・感想・評価

映画 えんとつ町のプペル(2020年製作の映画)
3.6
スタジオ4℃の映像技術と演出が遺憾無く発揮された画面は素直に楽しくて堪らなかったです。
ベルセルク全編やってくれ〜〜〜!!!!

感想
えんとつ町の横軸の閉塞感と、乱立する煙突が生み出す縦軸のコントラストがまさに「舞台」として機能していて、一気に観客の没入感を生む。さすが鉄コン筋クリートの4℃…。
その中で展開する「夢を諦めるな」という物語は、モグラをはじめとした個性的なキャラクターに彩られ、世界観を把握した後半では「夢を叶える」ことがより確かな輪郭を持つ。
そういったキャラクターの魅力やテーマの説得力は見事。

見事なだけに、この「絵」を西野が描いているという恐怖。
夢を見ろ。
足を引っ張る他人の言葉には耳を貸すな。
夢を叶えろ。
夢のために戦え。
夢に捧げろ。
「夢を見る」ことを希望として導く作品が、一転「夢を見ろ」という呪いに変わる。
西野、君は人間の形をしたベヘリットや…。

作品がなかなか良いからこそおぞましいという、ある意味ドキュメンタリズム溢れる一作でした。
あともういい加減「男は泣くな」はやめない?
「男の生きづらさ」を自ら助長する意味はないよ。

蛇足ですが、資本主義を越えようとした初代町長の夢と目標はどうなるんだろうね。
うち滅ぼされるべき悪でもなかったような気がする…。
でもあれは資本主義の中で貧富の差を無くすというよりも、貨幣価値を物質レベルに下げる政策だから共産主義的なのかな…。
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