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17歳の瞳に映る世界のJTのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.0
安全な場所ってどこだろう
安心できる瞬間っていつだろう
そう多くないことだけが確かなこと

望まない妊娠をした少女が都会へ中絶をしにいく話

この映画を観たのは今年の4月頃だったけど、今日友達がバスで性的嫌がらせを受けたことを聞いて本作のレビューを書こうと思った。私たちの社会は何事も上手く機能しているようにみえて実は欠陥だらけで、安心、安全な街づくりとかよく聞くけど、全てが整った街の中にいくらでも危険はあり、沢山の人溜まりの中で平然と悪魔はいる。その犠牲となるほとんどが女性で、日本は特にだけど世界でもまだまだ女性軽視はあり、道具のように扱われたり、見られたりする。自分は男で公共の場でハラスメントを受けたこともなくその恐怖がどんなものかはわからないので、軽々しく女性の立場に立つのも難しい話だけど立つべきだとは思う。というかそういう現状、環境、人間を知るべきだと思う。その痛みがわからないのなら。タイトルの、「一度もない、稀にある、時々ある、常にある」、とは恐怖であったり、安心であったり、立場にも当てはめられる。最も恐ろしいのは、自分の知らぬ間に相手を害する可能性があること。何気ない視線や何気ない接触がいくらでも凶器に変わりうることだ。相手の心と体がどれだけ傷を負っているのか、なにを抱え、どんな環境に置かれているのか、見知らぬ他人のことなんて何もわかりはしない。だからこそ考えるべきで知るべきで想像すべき。そして女性だけが声をあげるのではなく、男性がフェミニストでいるべきなんだ。

全くレビューになってないですが、日常に潜むじわじわと迫りくる感覚、ひりひりする瞬間を捉え、その中で悶える若者と心の安堵を丁寧に描いた秀作でした。
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