荒野の狼

劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIMEの荒野の狼のレビュー・感想・評価

4.0
TVシリーズ「仮面ライダーゼロワン」は2019-2020年に放映されたが、本作は、2020年にシリーズ終了後に公開された映画で最終回の後日談。伊藤英明の演じる敵役のエスこと 仮面ライダーエデンは堂々としており敵役としてふさわしい。本作は、エスが事件を起こした動機が複雑であり解りにくく、その謎解きともいえる解説の部分に時間がかけられていないので、映画の核心が十分に理解できなかった。これは、脚本に凝りすぎたためであろうと、ポジティブに評価したいが残念な完成度。
秀逸なのは、ゼロワンにそっくりなゼロツーの登場で、スーツアクターは、165㎝の藤田慧で、藤田は本作で仮面ライダーバルキリーのスーツアクターも務めているが、ゼロツーでは回し蹴りなどのスピードが素晴らしく異なる動きを見せる。ゼロワンのスーツアクターの縄田雄哉とは、まったく異なる動きなので、共闘して敵と戦うときにその差がみられて素晴らしい。その上、ゼロワンとゼロツーは、造形がわずかに異なるだけなので、昭和の仮面ライダー一号と二号のオリジナルのダブルライダーの初共演を思い出させる闘いぶりで、ダブルキックで決めるシーンはオールドファンには嬉しい。
アクションの他の見どころは、バルキリーのバイクアクションで、これは映画ならでは。逆に残念だったのは、現役プロレスラーの後藤洋央紀[が出演していながら、アクションがほとんどないこと。ライダー映画では、これまでプロレスラーでは棚橋弘至が悪役として登場し大きさと強さを発揮したが、今回の後藤の役どころはそうしたシーンが皆無。また、後藤に福士誠治らを含めた4人が、敵役の幹部役を演じているが、変身後の造形が地味な仮面ライダーでほとんど見分けがつかない(それぞれがユニークな武器をもっているとか、一目で異なる色のスーツを着ているとかいうこともない)。また、彼らの数十名の部下(戦闘員)とも造形がほとんど同じで見分けがつかず、ライダーとの対決で幹部が倒されたのか、戦闘員が倒されたのかわからない。設定ではゾウリムシのようなナノマシンが、敵の本体なので、ここは巨大な気味の悪いゾウリムシやムカデのような怪人にでもして欲しかったところ。
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