回想シーンでご飯3杯いける

海辺の家の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

海辺の家(2001年製作の映画)
3.5
「家を建てる映画にハズレ無し」というのが僕の持論。とは言っても、家を建てる映画なんて実際は数少なく、僕の知る限りでは、韓国の「建築学概論」と、トム・ハンクスの初期主演作「マネー・ピット」ぐらいしか思い当たらないのだけれど、どちらも家を人間関係のメタファーに用いているのが特徴で、爽やかに感動できる秀作になっている。僕はこれらの作品を、横浜発祥のラーメンに掛けて「家系」と呼んでいる(笑)

さて、この「海辺の家」も、原題が「LIFE AS A HOUSE」である事からも分かるとおり、まさに家を人生のメタファーとして描いた"家系"作品だ。余命宣告を受けた元建築士の男が家を建て替える中で、自暴自棄な息子との対話をはかり、親子関係を修復していく姿を描いている。その過程の中で、離婚した奥さんとの関係にも変化が表れ、新しく生まれ変わる家と同様に、3人の人生も新たなステップを迎える、というのが大まかなあらすじ。

変に泣かせようとしていない所が良い。主人公や近所に住む人達も、何だか凄くゆる~くて、ヒューマン・ドラマというよりコメディっぽい雰囲気になっている。でも、それが逆にささやかな日常の幸せを感じさせて、馬鹿らしいのだけれど愛おしくなってくる。

隣に住む母子のスケベっぷりが妙に生々しかったのがマイナスポイント(特に母親!)。そこを除けば良い作品だと思う。