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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のchihoのレビュー・感想・評価

3.5
予告編を見てからおもしろそうと思っていたもの。
三島由紀夫の小説は実は読んだ事がなくて、どんな人物か分からないまま見たのだけど、このドキュメンタリーでなんと大体どんな人物か見えてしまうというくらいに三島由紀夫とはピュアな人物だなと思った。

そういえば、一度日記のようなものを読んだけれど、文章からとても頭がいい人だと感じた。
思考の仕方が違うので、こんなふうに考えるのね〜というかんじ。

三島由紀夫は、この人が生きた時代や環境によって、この人は純粋すぎる故に、変えられないものに変えられてしまったのではないかと思った。

この討論会を双方が互いに利用していたようだけど、なんとなく三島由紀夫はこのやりとりで、自分が気づいていなかった事(もしくは見ないようにしていたこと)を見てしまったように思えた。
他人と対立するとはそういうことなのだと思うけれど、彼の場合はそれは特に重要なことだったのではないかと思った。

人の生き方を変えてしまうような出来事や体験って、今の人ってなかなかないけれど、三島由紀夫は、日本全体で戦争を体験して、天皇が神だと教えられ絶対だった世界で育って、ある日それがひっくり返って、そのひっくり返った世界でこれからは生きていって下さい、となって、そこで、はい、そうですか、とはなれなかった人ではなかったのかと思う。
そして、こういう人がいたから、みんなが狂わずに生きていけるのではないかと思う。
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