幕のリア

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実の幕のリアのレビュー・感想・評価

3.6
50年前の言葉が現代に放つ乾坤一擲を感じたく初日に。

三島はインテリチャンピオン。
当時の雑誌読者投票でダンディな男一位に選ばれていた三島。
そのルックス、鍛えあげれた肉体、ユニット楯の会、オリジナル軍服のコスチュームとしての完成度、膨大な著作群というオリジナルホールド。
それに挑むは東大全共闘のプロレスを知らないMMA戦士たち。

ただ、議論の応酬は延々と続くスパーリングでしかなく、決して極めようともしない。
極端に言えば"ああ言えばこう言う"の域を出ていない。
言ってることはよく分からんがとにかくすごい気合だ、と途中から思考するのは止してしまった。

監督の人選が謎で彼が何を施したのかも謎。
凡百のドキュメンタリー作品同様の
"〜だろうか?"
"あなたにとって〜とは?"
に近いアプローチは退屈極まりないし、東出君のナレーションもこんなタイミングでなくても耳障りで残念。

名試合の裏には名ブッカーあり。
かつての闘士たちを弄りに弄る挑発が欲しいと思うのだ。
その一端はうかがえたのだが、準備と度胸とアドリブと演出の技術が無いものだから尻つぼみで終わる。

それでもTVでは流せない蔵出し映像は観る価値がある。

〜〜

今日の一曲

なんの結実も産まず、その後の日本の悪しき政治に何の影響も与えなかった闘争。
この時代に若者であった現在の二世政治家達は騒ぎをよそに銀座で洋食でも頬張っていたのだろう。
この時代の騒乱を見ても、何も熱くならず、帽子いっぱいの虚無感に襲われるのだ。

名盤『ハットフル・オブ・ホロウ』より

The Smiths - What Difference Does It Make?

https://m.youtube.com/watch?v=XbOx8TyvUmI


2020劇場鑑賞30本目
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