とらキチ

彼女たちの革命前夜のとらキチのレビュー・感想・評価

彼女たちの革命前夜(2019年製作の映画)
3.5
上映最終日、滑り込みセーフで鑑賞。
1970年の「ミス・ワールド」で実際に起きた騒動が描かれる。世界三大ミスコンテストの一つと呼ばれる同大会を舞台に、出場者と主催者、開催に抗議する活動家たちの思惑が交差する。
まさにこの頃から始まった“Women's Liberation”。だが、真の解放をするためには性差だけでなく、世代間、価値観の対立からの解放が必要だったことがよくわかる。原題は「Misbehaviour」で和訳すると「不正行為」。彼女達の行ったことは、たしかに不正行為だったが、その行為こそが、のちに世の中を大きく動かすことになる運動の小さな第一歩だった、と思うと感慨深い。それと、当時の南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策についても言及していて、その批判を躱すために敢えて有色人種の出場者を出していた、という描写も興味深い。
こんなテーマの作品で、こんな事を言うのもなんだけど、キーラ・ナイトレイのツイードのスカートに膝下ブーツ👢の衣装がとても可愛く魅力的で、オデコのシワを全然気にしていないようなナチュラルな姿がとても良かった。
そして戦地での慰問を多く行い、自身の生前からアメリカ海軍の輸送艦の艦名に採用されるほどだったボブ・ホープ。今作においての彼は、完全にとばっちりに巻き込まれたようにしか見えなくて、なんだかお気の毒だった。
それにしても50年。あの頃から我々は進んでいるのだろうか。
とらキチ

とらキチ