けーはち

わたしはダフネのけーはちのレビュー・感想・評価

わたしはダフネ(2019年製作の映画)
2.9
妻に先立たれた男とダウン症の娘の家族ドラマ。主演女優自身もダウン症である。ダウン症患者は顔や身体に特徴的な発育障害が表れるが、知能障害には個人差がある。彼女の場合は講演や自伝を執筆するほど常人以上に言語能力が高く演技もこなす。ただし本作では最小限の要素以外はなるべく自然体な彼女を撮るように心がけ、母親の墓参りに行く後半も、いかにもな芝居や物語がなく、さほど盛り上がらないロードムービーになる。なるほど、志は理解した。アンチドラマチック、アンチ障害者感動物語。自然体のフラットな視点で観よう!……とすると、連れ合いを亡くした傷心の老父を前に呂律の回らない舌でへちゃむくれた童顔チビのおばさんがギャーギャーペラペラと捲し立てる、多少の感動的な交流はあれど、何ともはやな話となってしまうのだった。まあ、これは見た目に障害があるから、侮られないよう先んじてコミュニケーション能力の高さを見せつけてブチかましていくという彼女の人生において出来上がったスタイルなのだろうが、うーん。