わたしはダフネの作品情報・感想・評価

「わたしはダフネ」に投稿された感想・評価

人を見かけで判断してはいけない。
ダウン症のダフネは両親と静かに暮していたが母親が突如他界する。残された2人は喪失感を胸に秘めながら過ごしていく…
大切な人を亡くした親子を描いたドラマ作品。今作を見て特に感じたことは、人を見かけで判断して決めつけてはいけないということ。主人公のダフネは側からみれば"ダウン症"だ…しかし彼女の内面はエネルギーが溢れ出し関わる全ての人に陽の感情を与える素晴らしい要素を持っている。障がいを持っている人は何かおかしい…これは日本人が思うイメージが強い。イタリアは脱施設化もあって障がいを持っている人たちは社会にうまく溶け込み、ノーマライゼーションを体現しているイメージを本作は投影させている。こういった国ごとである価値観の違いを本作を通して感じた。
また今作は大切な人をどう受け止めて生きていくかを描いた作品でもある。母親を亡くしたダフネは喪失感を抱えているとは思うが、それをあまり周りには見せず快活に仕事に打ち込んでいく。それに対し妻を失った父親は気落ちし仕事もうまくいかず、娘に少し当たってしまう。この2人の対比はストーリーに影を落とすが、最後の展開で2人の母親に対する思いが収束するのはとても美しいラストだった。親子で歩き旅をする微笑ましい姿も心温まる。
ダウン症の娘を描いた作品ながら、ダウン症のダの字も感じさせずダフネを普通の少女として描いていたのが好印象だった。
いやはや、ダフネという人間に驚かされた。悲しい時には悲しむ。笑う時には笑って、悲しみから老父を引っ張り出す。
同じ障害の人々が集う支援団体の中にいると、確かに彼女はダウンだなと思う。しかし、家族や仕事先、亡母の生家を訪ねる旅で出逢う人々との関わりをみると、全然だね。コミュニケーション力の高い、ひとりの24歳女子に他ならない。愛するスーパーのユニフォームに髪の色をリスペクトするのだから、ただモノではないのは確か。
skm818

skm818の感想・評価

3.7
突然の母の他界後、ダウン症の女性ダフネとその父親が、共に暮らしつつ家族の死に向き合っていく話、かな。お父さんもダフネも悲しみを抱えているけど、表現の仕方が違うのだな。思いやりの示し方も。それでときどき喧嘩もするけど、互いを大切に誇りに思っている関係なのだろう。昔テレビや何かで紹介されてた知的障害の人って、一人じゃ日常生活ができないことが強調される演出で見せられてたけど、実際は色々なんだと思う。ダフネはしっかりしてる方なのかな。多分こちらが思っているより街中で出くわしている障害者は多いのかもなと思いましたね。風船の使い方が最高だった。たしかにそうなんだよね。
めちゃくちゃポジティブなダフネに観ている方もニコニコ。序盤は別れがあるので辛いけど。
当たり前に仕事をして人と関わる彼女の毎日を追う。自分も他人も大事にしつつ、自信を持ってしたい事をする。髪色やそれに合わせた服が素敵。
「当然の事ですから」とサラッと席を譲る(美談めいた演出とかなんもない)彼女の人間性がとても好きだし見習いたい。
映画に溢れる空気は彼女の人間性でもあり、彼女を取り巻く人々や社会でもある。
何を説明するでもなく、人に優しくしようと思える映画。
柊

柊の感想・評価

3.3
何がダメだったかと言われたら、ダフネの声のトーンかな。私の体調のせいもあるのかもしれないけれど、とにかくノイズ的に合わなかった。
だからエンディングの歌も同じく…心地よく無い。

それ以外で言えば、オープニングからの美しい風景描写やダフネやお父さんの洋服の色調とかとても好きな感じ。

でもね。大切な人を亡くしてからの立ち直りは人それぞれだと私は思う。母を亡くした子どもと妻を亡くした夫は多分全然違う。
生まれた時から存在している人と沢山の人間の中から巡り合って人生を共にしてきた人を亡くすのは受け取り方が違う。

元々意見をはっきり言うダフネだけど、自分の考えを主張するばかりなのには少し私は受け入れにくかった。でもだからこそお父さんは元気になったのかもしれないけれどね。

それにしても、ダウン症とかの括りはまるで関係ないね。ダフネだけじゃなくて、ダフネを取り巻く全ての世界が。等しく生きる。素晴らしい。
母親を亡くしたダウン症の女性が、残された父と2人で旅をする話。

ダウン症を強調せず、焦点はあくまで父と娘の関係性に。

父が語る“娘が産まれた時のエピソード”、娘が口にする「幸福な確信的おひとりさま」という表現が印象的。

終始までユーモアを漂わせた作風に、好感が持てた。
り

りの感想・評価

3.6
父と娘。

妻を失った父と母を失った娘の暮らし。
不安定なようで根本では信頼し合ってる2人のやりとりは見ていてあったかい気持ちになりました。

ダフネの言葉が心に刺さる。
そんなに長く生きているわけでもない彼女の言葉が刺さるのは、彼女が本心で、何の疑いもなく言っているということが受け取る側にしっかり伝わるからでしょう。

自分は生まれる前ダウン症かもしれないと医者に言われていたらしいです。
父と母は産むことに全く迷いがなかったと聞きましたが、心のどこかでダフネの父が語ったような葛藤があったのかなぁ。

ダフネみたいな友達欲しいです。
明るく、自分の考えをハッキリと言うダフネ。周囲の人達に愛され、充実した日々を送っていた。そんな時に大好きな母の急死。愛する妻の死を受け入れられず、働くことさえも止めてしまった父。そんな父を見兼ねて、徒歩でお墓参りに行こうと父を誘ったダフネ。途中で出会う人達さえもダフネの魅力に惹きつけられ、そんなダフネを誇らしく感じる父。ようやくたどり着いた母の実家でダフネから父へサプライズのプレゼント。泣けた。ダフネは一言も自分からダウン症の事に触れることもなく、ネガティブな事は一言も言わなかった。尊敬に値する。ラストシーンのサプライズプレゼントを渡すシーンは泣けました。
ダフネは髪もピンク、旅行に行く時もピンクのダウンに花柄のバックパックでとてもオシャレで可愛かった。イタリアの映画を観るたびに思うのは、イタリアは障害者の先進国だなと。障害者が普通に生活出来る環境と仕組みが確立してるんだろうなぁと感じる。日本は出遅れてる。しっかりして日本。
mity

mityの感想・評価

3.0
快活で口が達者でコミュニケーション能力が高いダフネにダウン症を感じたのは、序盤だけだったかもしれない。

母マリアを喪って情緒不安定のようになったダフネ。泣いて叫んで悲しんで、感情全開にして母の死を嘆くダフネに周りは少し手を焼いていたけれど、でもちゃんとダフネはさよならが出来たんだと思う。だからこそ、落ち着いてマリアの居ない日常に戻れたんじゃないかな。

ダフネが元気を取り戻していく一方で、弱り続けるルイジが切なかったなぁ。ダフネと違って、ちゃんと心の整理が出来ないままマリアの居ない日常を生きなければいけなくなった感じがして、不安に押し潰されるんじゃないかと思った。

そんなルイジを気に掛け、母の生まれた村に行くことを提案したダフネ。まるで親と子の役割が逆転したようで、ダフネはとても頼もしかったし、きっとルイジにもそれは伝わったと思う。

ダフネがダウン症であることは、この映画ではあまり重要ではなかったように思えた。ダフネとルイジのような父と娘の微妙な距離感は“あるある”だと感じたから。ふたりを繋いでいたマリアの喪失という大きな悲しみを経験したことで変化するふたりの距離感を、映画は優しく描いていたなと思った。


#74_2021
母親を突然亡くしたダウン症の女性と父親の小さな物語。しかし、そこにたゆたう豊かな情感。

障害や病気を「特別」な事と描かずに、ただ間違いなく観る者の意識を確実に更新してくれる。それって簡単な様で難しい。
人物たちのさりげなく交わす言葉や、物言わぬ時にみせるちょっとした仕草や行動から、こちらの共感や思惑を引き出していく丁寧で優しい話運びが素晴らしかった。

ダフネという女性が常に主体的で魅力的。自分の心の中から沸き起こる感情に常に正直で、だから嘘がない。それでいて観察力や感受性も豊かだから、他人を受け入れたり受け入れられたりする事を厭わない。
こんな風に生きられたら。と誰しも思わないではいられないのでは。

あらすじの通り物語上すぐに居なくなってしまう母親マリアの育て方は直接的にほとんど描かれないけれど(序盤のわずかなやりとりだけが頼りではあるが)、 人生を通じてどのように彼女に接してきたかが充分に判る。
ダフネの様な境遇の子供たちに限らず、「育てる」「教える」「導く」ことの大切さ、尊さ。

もちろん職場をはじめ全体的にポジティブな環境は多分に理想的ではあるが、ちゃんと所々他者の視点を挟み込んでくる作り手のしたたかさも見逃せない。薬で感情を抑えようとした看護師の表情とか。
ダフネと父親の終盤の道程において、あっさり他者の助けを受け入れる彼女の選択も、他力の大切さも改めて気づかせる演出だと思う。

終幕の柔らかい後味。
ダフネの髪や装いの赤の印象。
良い映画を観たな。と客電が点いた時に率直に思えた。
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