マルジェラが語るマルタン・マルジェラ
この作品は
・ドキュメンタリー映画としての面白さ
・マルジェラのコレクションを一気に観れるという高揚感
・声や手元から伝わるマルジェラ本人の人柄…
大きく分けるとこの3点の魅力でファッションドキュメンタリー好きとしては飽きることなくあっという間の90分を過ごした。
で。2回も観に行ってしまった。
「孤高のデザイナー」「ファッションの革命児」「ミステリアスマン」など神秘性と強いカリスマ性を持つマルタン・マルジェラ本人の出演
ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリーを制作したライナー・ホルツェマーの監督作品とのことで(ドリスのドキュメンタリーもとても良かったので)期待も高まった
このドキュメンタリーを見ると当時過激に感じていたマルジェラの表現が至極まともで真っ当なことがわかり当時の映像と合わせ答え合わせを観ているような感覚になる
あまり評価として芳しくなかったエルメスのコレクションでさえ今現在のエルメスを見るとマルジェラのやってきたことが確実に受け入れられ継承されているのがわかる
ただやはりシビアなビジネスの問題はマルタン・マルジェラも例外ではなく
少しずつそこから彼らメゾンマルタンマルジェラの良さが失われていく様子を関係者の証言で聞くのは胸が痛む
2008年にマルジェラは引退したので結末はすでにわかっているが
マルジェラの穏やかで優しい声やエレガントで丁寧な手元や仕草
子供の頃に作ったコラージュノート、祖母の絵、子供の頃遊んでいたバービー人形
ドローイングなどとても几帳面で物持ち良いマルジェラのおかげで愛らしく魅力的な品々を通して
改めてマルジェラの作品への理解や興味が増してくる
映画としてもデビューコレクションから保存されている豊富な資料、音楽、そして間合い(絶妙)
など緩急ある画づくりで質の高いドキュメンタリー作品に仕上がっている
ぜひライナー監督には次回作として彼が望む
コムデギャルソンの川久保玲のドキュメンタリー映画の制作を実現させてほしい