のんchan

パピチャ 未来へのランウェイののんchanのレビュー・感想・評価

4.0
アルジェリア出身のムニア・メドュール監督が18歳で体験したことを基に脚本している。
アルジェリア内戦(1990年に始まった暗黒の10年)中が舞台のかなり過酷な青春物語。


大学生のネジュマは寮生活。まるで女刑務所かと思うほどの厳しい規則でがんじがらめ。しかし、18歳の輝きたい年頃。
ネジュマは手先が器用で、自分でデザインしてドレスを製作し、夜になると友人と抜け出しては、街のナイトクラブのトイレで販売していた。

夢はファッションデザイナー。街のレストランでファッションショーを企画していたが、そんな状況ではなくなる。
理不尽な女性抑圧で、街中にはヒジャブを強要するポスターが貼られていく。それを端から剥がしていくネジュマ。

街中では武装した過激派勢力の台頭でテロが頻発して危険が隣り合わせ。大好きな姉が一瞬で殺されてしまう。
そんな国、若者は誰しもが自国から飛び出たいと願っている。
ボーイフレンドからも当然フランスに出て新しい世界で生活を始めようと誘われる。

しかし、ネジュマは母がいる自国を愛し、そこにとどまって、自分らしく生きる道を切り拓きたかった。友人と楽しく自分の生まれた国で自分らしく。

男尊女卑が蔓延る中、それでも女性の自由を、せめてファッションだけでも自分らしくと抵抗し、寮の中でショーを決行することに...

  

監督自身は父親の影響でアルジェリアを離れフランスへ渡ったが、ずっとアルジェリアを忘れたことはないと言う。
また、主演のリナ・クードリもアルジェリア出身で、監督と同じような気持ちを共有していたことで、芯のある力強さと儚さを伴うネジュマの役柄を理解し等身大で演じきっていた。


監督の新作『裸足になって』を観る前にこの作品を理解しておきたかった。
素晴らしい作品でした✨
のんchan

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