オザキ

ミナリのオザキのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.3
全くもってドラマ。
夢を叶える話ではない。
感動と拍手を誘う話ではない。
挫折と成功に勇気をもらう話ではない。

淡々とも思えるような家族の日々を見ていくうちに「家族」から「個」が、同時に「個」から「家族」が見えてくる。
アメリカンドリームを追う夫、家族を守ろうとする妻、両親の軋轢と異国からの眼差しの下で成長する子どもたち、そしてそこに加わる韓国から「韓国」を背負ってやってくる祖母。
それらの"キャラクター"にはその物語での役割以上の感情や意思があると、フィクションでありながら「彼らにとっての事実」であるという感覚に陥る。
あり得たかもしれない現実。
「全くもってドラマ」は、ドラマティックという意味でなく、人生の芝居というドラマだったなあという感想。

あと、ジェイコブが家族を振り回しているような印象を観客に与えるところ、祖母がアンではなくデビッドばかり可愛がるところとか意識的に韓国(だけではないが)の「家父長制」を描いてるな〜と感じたし、そういう意識的なところが好きだな。

追記
パンフレット読了。
監督の半自伝的作品だそうで。
納屋が燃えたのも十字架を引きずって歩く男も本当。
「あり得たかもしれない現実」じゃなくて本当のことだったんだ〜…。
オザキ

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