コンテナ店子

ミナリのコンテナ店子のレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
4.0
映画のトーンが非常にリアルで興味深かった上に、技量的部分があらゆる意味で高水準で、脚本の盛り上がりは一切なくても非常に見ごたえがある映画でした。

色々いい分はありますが、特に評価できるのは演技でしょう。キャラクターがクローズアップされて顔だけ映すというシーンが何度かあって、主要人物にはほとんど最低でも1回はそういうことがありましたが、そのすべてが感情を顔だけで表現していたし非常にリアリティに溢れていたので、音楽もなくただ人の顔を見ているだけのシーンなのに目が離せませんでした。
演技と言えば、少年の役を演じたアラン・キムが断トツで素晴らしかったです。ここ1年くらいで見た子役の中で一番真実味に溢れていたと思いますし、声色の変化などにまで感情が溢れていて、あんまり活動的ではないキャラクターですが、ちゃんと感情を持っているのがしっかりと伝わってきました。

あと、アカデミーで作曲賞にノミネートされているようですが、納得としか言いようがありません。この映画で使われているBGMは、ゆったりとしながらも大きめの音量を使っていて統一感がありましたし、草まみれの田舎風景とも合っていましたが、その中にキャラクターの感情を織り交ぜて、押しつけがましくなく視聴者へ自然に感じ取らせるのが上手でした。これに関しては、他の映画では類を見ないような表現方法と言えるでしょう。

唯一好きじゃなかった所を上げるとすれば、1人だけシーンが少ないキャラクターがいました。その人だけ話の中で感情の変化がそこまでなかったので、数合わせのためにいるように見えて、映画館を出た後に少し違和感を感じました。

上で解説した部分以外にも撮影や照明やセットなどなど評価できる部分は非常に多く、映画好きであれば絶対に見ておくべき作品であると言えるでしょう。かなりおすすめです。
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