わた

ミナリのわたのネタバレレビュー・内容・結末

ミナリ(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

苦労して働く人を丁寧に描いた作品。
夫婦喧嘩や災難続きでとってつけたようなハッピーエンドはないけどそれがいい。
現実に近いような描き方をしてると思う。

私は奥さんの方にとても共感してしまうな。大成功やアメリカンドリームなんかいらないから家族みんなで安心安全な暮らしがしたいよね。不確かなものに賭けて愚直に進んでいった先にしか成功はないとわかっていても、子どもの将来や今の生活を天秤にかけると、とても成功を追いかける気持ちにはなれない。

一方夫の方は一生ひよこの鑑別をやることには我慢ならなくて、どうしても男として父として、自分で一からことを成し遂げたいって気持ちが強いんだろうな。それもまぁわかる。だから夫婦喧嘩が絶えなかったんだろうね。

そんな厳しい現実の中で登場するおばあちゃんが最高。子どもとおばあちゃんのやりとり最高。父母と子どもたち、おばあちゃんは同じ家ですごしてるのに見ている世界がまるで違う。デビッドとおばあちゃんが連れ立って農場を歩くシーンはとてもゆったりした空気が流れてる。
父母の目から見たらデビッドは弱々しい子どもかもしれないけど、ばあちゃんにオシッコ飲ませたりお仕置きで父を出し抜いたりとけっこうやることやってる。たくましい。親は子どもをあれこれ心配したりこんな風に育ってほしいとか思うものだけど、最後に姉弟がおばあちゃんを心配して「家はこっちだよ」と連れ戻す行動に出た、それだけで2人は充分いい子に育ってると思ったな。

事業の行き詰まりだけでなくアメリカの片田舎の人の宗教観や教会へのなじめなさ、韓国人同士でも助け合えないやるせなさなんかも描かれていてリアルだなと思った。でも希望を持てる最後になっていてよかったです。
わた

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