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ミナリのasamiのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.9
『ミナリ』
Netflixにて視聴。
2020年の作品。ゴールデングローブ賞やアカデミー賞を始め数々の賞や映画祭を席巻し、アカデミー賞では祖母スンジャを演じたユン・ヨジョンが助演女優賞に輝いた。
スティーブン・ユァン主演。
韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンが監督・脚本を手がけた。
ミナリ、とは野菜の「セリ」のこと。
映画館で見逃していて、配信待っていました!



1980年代、農業での成功を目指し、
家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。
荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは生活に少しずつ慣れて行く。

やがて韓国からモニカの母スンジャがやってきて一緒に暮らすようになる。
破天荒なスンジャはデビッドと奇妙な絆で結ばれていく。
ジェイコブは貧乏白人のポールを雇い、
苦労しながら農業を続けるが、野菜は思うように金にならない。
上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかる。



韓国系移民の家族の逞しく生きる姿を
とても穏やかに描いた作品。
アメリカ映画では、白人が描かれがちなアメリカン・ドリームや家族の風景。
今作は今までスポットが当たらなかった人たち、韓国系移民の家族を描いている。

登場人物の造形が面白い。
ジェイコブは我慢強く家族思いだが、
今は農作業を成功させることで頭がいっぱいだ。でも妻を愛し気遣っている。
スティーブン・ユァンはとてもハンサムで、
感情を抑えた演技が良い。

モニカは『海にかかる霧』のハン・イェリ。
英語が堪能でなく孤独を感じており、この地での自分の存在意義を感じられない。
息子の心臓病への不安、家計のやりくりで限界が近づいている。

口が悪く、愉快で豪快な祖母スンジャを名優ユン・ヨジョン。
スンジャそのもののリアルな演技が素晴らしい。さすがです、ヨジュンさん。大好きです!

後、貧乏白人のポール。
スピリチュアルな話をしたり奇行が目立つけれど、本質は優しく真面目。
(陰謀論を信じていそう)
いつの間にか家族の支えになっている。
彼を演じるウィル・パットンが良かったな。
『アルマゲドン』の彼ですよ。

子役たちも可愛く、観ているとこの家族を愛し応援したくなるけれど、
この映画のカメラは家族を本当に静かに見つめ続けるので、あまり感情的になったり、近づくことができないように感じました。
不思議な距離感です。

そしてラストのわずかな数分がものすごく優しく、人の逞しさや強さを感じられるんです。流れる時間が澄んだ湧水のように感じられるような。
まだまだ未来は過酷なのに、
またしても不思議…
これは静かな決意を抱き続けるジェイコブの
佇まいからなのかな…。

私は大好きな映画になりました。

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