ククレ

MINAMATAーミナマターのククレのネタバレレビュー・内容・結末

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観ようと思っていたが、重いテーマなので先送りにしていた。なぜジョニー・デップが水俣病を撮りたかったのかを知らなかったから、ちゃんと描けているか疑念もあった。でも、もっと早く観るべきだった。ラストで驚愕した。

水俣病は学校で習うし、「過去の公害」としては知っているつもりでいた。しかし、未だに苦しんでいる人がいることを忘れていたし、2013年の首相の声明なんかは知らなかった。まだチッソはまだ存続しているのだから、これは現在も続く日本の暗部なのではないか?

つまり、この作品は今の日本では作れなかったのだろう…。映画作品にして世に問うてくれたジョニー・デップに感謝。まぁ、日本家屋が中国っぽいところとか、漁村に見えないところなんかは仕方がないかな。
ラストの字幕で驚いた。ユージーンが工場での怪我が遠因で亡くなったことや、水俣の作品が最後になったことを知り、日本人として申し訳なく、いたたまれない思いにかられた。

社会科の資料集で見たことのある「入浴する智子と母」。このモノクロ写真の美しさと哀しさ、慈愛に満ちた姿たるや素晴らしいな…。ひと目で水俣病の恐ろしさがわかる拘縮した手足、それでも懸命に娘を介護する親たちの悲痛な思いが、モノクロだからこそリアルに物語っている。「たった一枚の写真が訴えるメッセージの強烈さ」を体感できる凄いシーンだと思う。この写真を撮るために命懸けで取材したんだな。

エンドロールに出てくる世界中の環境汚染のモノクロ写真たちも、雄弁に語っているように感じた。

追記
鑑賞後、ネットでいろいろと調べてみると、「事実ではない」描写がたくさんあるとのこと。なるほど…こういった作品では事実を曲げて誇張するのはいけないな。勉強になりました。
ククレ

ククレ