一粒万倍日

MINAMATAーミナマターの一粒万倍日のレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
3.9
ジャーナリズムの重要性とその仕事を知ることができました。

たまたまアマプラのトップに来てて、福島の処理水放出の問題や風評被害が懸念される今 配信なのかと、複雑な気持ちになりなかがら観てしまいました。

アメリカのフォトジャーナリスト ユージン・スミスが、水俣病の実情を世界に知らしめる写真を「ライフ誌」に公表するに至るまでの実話の映画化。
ユージン・スミスの写真に感銘を受けた主演のジョニーデップが、自らプロデュースしたという環境問題に切り込んだ映画だ。
ジョニーディップの社会的な別の一面を知れました。

水俣病は、チッソ社のメチル水銀の海洋流出が引き起こした、魚介類を介しての食物連鎖により、中枢神経を中心とする神経系が障がいを受ける中毒性疾患。その中毒症状のあまりの悲惨さに、子供の頃衝撃を受けたものだ。

チッソ社は今も患者補償を行っているようですが、映画で知る当時の対応はまるで社会主義体制のように感じるほど独善的だった。

また、チッソ社の企業城下町の一面もあった水俣市は微妙な立場に置かれていたとは思うが、それにしても当時は長いこと被害者に対して市も県も国も十分な対応がなされていなかったんだと分かる。

映画の最後に、水俣の問題だけでなく世界で引き起こされている他の地域の環境汚染について紹介されていたことがとても良かった。

1つの企業の利益のために、そこに住む人々が犠牲になってはならない。
チッソ社の社長が言っていた「全体の0.1%の犠牲でしかない。たいしたことではない。」ではないということ。

第3者的立場であったユージン・スミスのフォトジャーナリストとしての魂の写真は、それだけで見る人に訴えてくるものがあった。

写真「入浴する智子と母」では、智子を介護する母の愛情と奪われてしまった母子の人生が、入浴という重労働の日常の介護風景を通して美しく伝わってくる悲しい一枚だ。

ジョニーディップが素晴らしかった!