凛

泣く子はいねぇがの凛のレビュー・感想・評価

泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
3.9
第21回東京フィルメックスで鑑賞。

秋田県出身の佐藤快磨監督が男鹿を舞台に、大人にも父親になることから逃げてしまった男が過去に向き合って成長する姿を描く。
伝統文化ナマハゲが印象的。

佐藤快磨監督と仲野太賀は短編作品『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』で出会い、今作では太賀にあて書きしている。
5年前から考えていたというラストシーンには胸が詰まる。

仲野太賀が情けない主人公の寂しさやいたたまれなさを丁寧に演じていて、救いようのないヘタレなのに応援したくなる。
元妻の吉岡里帆が疲れた母親でぼんやりと空を見つめたり。それでも気丈で美しい。

母親の余貴美子が駄目な息子を責めることなく包み込む優しさと強さを見せる。
同じぐらいの年齢の息子がいる私にとっては共感する部分がとても多かった。

佐藤快磨監督も幼少期に体験したナマハゲはトラウマになるほど怖いらしい。
撮影でも子供を騙して大晦日という設定にしてナマハゲを投入し阿鼻叫喚になっていた。

サンセバスチャン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞した男鹿半島の美しい景色と幻想的なナマハゲを是非映画館で。

企画は是枝裕和監督。
分福の作品は家族を描いているものが多くて好き。
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