しん

83歳のやさしいスパイのしんのレビュー・感想・評価

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)
3.3
特別養護老人ホームの入所者の孤独を面白い視点で描いた作品でした。現代社会には老いや死を日常から見えなくする施設がたくさんあります。特別養護老人ホームはその代表格であり、その入所者の孤独は現代の深刻な社会問題と言えるでしょう。

本作では色鮮やかな自然、心配りのできる施設のスタッフと、入所者にとって素晴らしい環境が揃っていることを描いているからこそ、家族とのコミュニケーションの欠落が際立つような構成になっています。ラストもどちらかというと悲しさを誘う演出になっていました。

本作は感動作というより、全編を通して物悲しさが漂う作品という感じでした。セルヒオという入所者でありながら他者という特殊なポジションの主人公の視線を取ることで、ある種の社会調査のような作品になっていました。
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