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白いトリュフの宿る森のlily0x0のレビュー・感想・評価

白いトリュフの宿る森(2020年製作の映画)
3.5
トリュフ狩りと聞いてニコラスケイジのpigを思い出しました
トリュフ狩りをする老人とその相棒の犬の姿を追っていくドキュメンタリーです
とにかく映像が綺麗で、山の斜面を犬と共に進む老人の姿から始まり、森山の景色や自宅で犬とご飯を食べるシーンなど、映像が全て美しかったです
途中で犬目線の躍動感あふれる画面になり、その撮影にも驚かされました

トリュフのある土地をめぐって争ったり、土地に勝手に侵入したり、土地を教えてもらおうとなんとか胡麻をすったり。
また妨害のために毒をまいて犬を殺そうとしたりと恐ろしい現実も魅せられました

印象的な2人の老人がいて、1人目は結婚もしないで犬とずっとトリュフ狩りをする男性でした
ビルバという犬が可愛くて、その犬に話しかける彼もとても可愛らしく、結婚しないのはなぜか聞かれたときにビルバがいるからと話していたのも、仕事上のパートナーということを越えて彼にとって人生においてのパートナーだということがひしひしと伝わってきました
毎日会話をしているような穏やかなときの流れでほっこりとしました

ふたりめはカルロという老人で、まず顔に怪我して病院に行くところから始まります
医者は転んだのではないかと心配しますが、本人は枝にやられたといって、決して転んだのではないと言っています
ただそれも疑わしいほどの頬に傷ができておりました
小脳のテストのための追視試験もさせられていました
奥さんは彼を心配してもう引退してほしいと訴えますが、彼は人生はこれからかもしれないと言ったり、夜中のふくろうの声を聞くのが好きなんだと言ったりだいぶ自分本位の自由な考えで奥様のことを何も理解しようとしていませんでした
可愛らしい感じなのに頑固なおじいちゃんだなと思います
それでもトリュフを見つけたときの喜びには変えられないものがあるようで、やめられないほど中毒性があるものなのだなと思いました
こっそりと夜に抜け出して狩りに出かけてしまう彼の姿を見届けて今作は終わりを迎えます

犬好きとしては悲しいシーンもありますが、トリュフ狩りという仕事のパートナーという存在を悠に超えていて人生のパートナーと言える絆で結ばれているのがとてもよかったです
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