Mariko

ナイトメア・アリーのMarikoのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.6
移動遊園地、a travelling carnivalみたいなものに子供の頃からすごく憧れがあって、そういうのが映画に出てくるともうそれだけでスコア上がっちゃう方なので、これは予告で夜の美しく怪しいカーニバル観た時点でうわあ!!ってなってた。この原作は読んでないけれど、ギレルモ・デル・トロだし、ブラッドベリの『何かが道をやってくる』(こちらもかなり以前に映画化されていて、でも観られてない)みたいな世界を想像していたので、ちょっと、というかだいぶ違った💦。

人間の実世界と異世界との狭間のような見世物小屋から始まって、そこから異世界寄りに行くのかと思ったら、逆に現実的な、いわゆる「モダン・ノワール」なベクトルに。

人間の因果応報とか輪廻転生、そして運命(さだめ)みたいなことを大人向けの寓話として描いたのだろうと思うし、それはそれで悪くなかったけど、期待してた方向と違ったので肩透かし喰らった感がないわけではない。まあでもよく考えてみたら、デル・トロのダークで美しい造型は好きだけど、必ずある「痛い」表現は苦手だし、脚本がすごく好きなタイプではなかったんだった。

キャストは当然ながら皆素晴らしかったけれど、特にブラッドリー・クーパー。好きな作品によく出てる割にその魅力が今イチわからなかった(いちばん好きなのがロケットとか言ってるあたりでお察し笑)のだけど、今回の「読めない」感じは作品の在りように合ったなかなかの味わい。そもそも当初ディキャプリオにしたかったのが折り合いがつかず、のキャスティングだったらしいけれど、これがディキャプリオだったらお得意の「弁舌巧みな野心家」っぷりが全開になって、寓話によくある「出自はあまり説明されないけれどとにかくそういう主人公」としては成立しなかったのではないか、と思ったので大成功。あと存在感が物凄かったケイト様も同様ではあるのだけど、流石にいろいろ説明不足感が否めなくて(意図されたものだとは思う)、全体的に話はシンプルな割に展開がスッキリしなかったところはちょっとあった。
もうちょい短かったら、雰囲気堪能して満足!ってなったかなあ。
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