回想シーンでご飯3杯いける

ナイトメア・アリーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.0
見世物小屋で働く男が、そこで学んだイカサマの読心術を武器に独立。富を得るだけではなく、人の心を支配するようになるという話。

すばり、この主人公って、本作の監督であるギレルモ・デル・トロを投影した作りになっていると思う。「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」でもそうだったが、デル・トロは流行りの実話映画には手を出さず、創作(フィクション)にこだわり、現実ではあり得ない世界観の中から、現実に向けたメッセージを紡ぎ出す事に力を注いできた監督だと思う。

彼が作り出す奇抜でグロテスクな映像は、他の作品も含めて正に見世物小屋のようである。それは人の注目を集めると同時に、時として現実逃避や慢心、誤解を伴うリスクも有している。本作の主人公は、その危うさを投影する存在のように思えてならない。

なお、上映時間は150分となっているが、近年の大作の例に漏れずエンドロールだけで10分強ある。ほぼ二部構成となっている事を考えれば、正味の上映時間140分は妥当な尺だと感じる。